安敦誌


つまらない話など
by antonin
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30
検索
最新の記事
アキレスと亀
at 2017-05-02 15:44
受想行識亦復如是
at 2017-05-02 03:26
仲介したことはあまりないが
at 2017-04-29 03:36
サンセット・セレナード
at 2017-04-12 23:17
水分子と日本人は似ている
at 2016-06-04 01:49
ほげ
at 2015-06-05 03:46
フリーランチハンター
at 2015-04-17 01:48
アメリカのプロテスタント的な部分
at 2015-04-08 02:23
卯月惚け
at 2015-04-01 02:22
光は本当に量子なのか
at 2015-03-17 23:48
記事ランキング
タグ
(295)
(146)
(122)
(95)
(76)
(65)
(59)
(54)
(45)
(40)
(40)
(39)
(32)
(31)
(28)
(27)
(25)
(24)
(22)
(15)
最新のコメント
>>通りすがり ソ..
by Appleは超絶ブラック企業 at 01:30
>デスクトップ級スマート..
by 通りすがり at 03:27
7年前に書いた駄文が、今..
by antonin at 02:20
助かりました。古典文学の..
by サボり気味の学生さん at 19:45
Appleから金でも貰っ..
by デスクトップ級スマートフォン at 22:10
以前の記事

統治の原理

すみません、連絡も無しで遅刻してしまいました。しかも5日以上も野晒し。ごめんなさい。

先日の「続・小人論」にクリントン大西さんからリプライを頂いていたんですが、返信ができずに放置してしまいました。実は、忙しかったんです。何に忙しかったのかというと、寝るのに忙しかったんです。えー、なんだか(言論で)殴られそうな状況ですが、申し訳を少し。

私はたいてい深夜帯にここの書き込みをしているんですが、夜も眠れないほど考え事が沸き立つ時期というのは、起きている時間もちょっと気を緩めると考え事が頭に渦巻いてしまいまして、はっきり言って業務に差し支えるのであります。ところがこのところ、帰宅して食事をとって子供を風呂に入れて歯を磨いてやって寝かしつけてヨメの話相手なんかをしていると、もう眠くなっていたのです。で、ありがたく眠らせて頂いておりました。

考えすぎ書きまくりの疲労が蓄積したのか、このところ慢性的な緊張型頭痛に悩まされていました。幸い今週は薬が効き始めてゆっくり眠ることができ、頭痛のほうもかなり緩和しました。今日はさすがに返信をしたためようとしたのですが、うっかり経済話を先にアップしてしまいました。重ね重ね失礼いたしました。大西様も本日は体調が優れないようでいらっしゃいますが、くれぐれもご自愛くださいませ。

さて、申し開きをしたところで本論を。

クリントン大西の裏日記 うーむ。「小人」、かぁ・・・・
「人情」として考えた場合・・・・・例えば、自分の親(あるいは子供)が、道路工事でメシを喰っているような人物であるとするなら、「公共事業費削減!」とか、「道路特定財源の一般財源化!」・・・・・みたいなことは、なかなか言いにくい。「先数十年にわたって禍根を残すようなことはすべきではない」・・・・この結論が、上のような立場を『棚上げ』せずに出せるか? といえば、これはかなり難しい・・・かも知れない。むしろ、自分自身が「道路でメシ喰っている立場」の時より、更に主張し辛いと思う。

このあたり、非常に鋭いところを見抜いていただきました。たいてい、ある程度の洞察力を持った人間というのは、世界が非情にできているということを知っているし、それに耐えることもできる。けれども全ての人間がそのような能力を持っているかというと、必ずしもそれを持ち合わせているわけではない。そしてそういう人々の生活まで抱えて立っているのが、責任者とか経営者とか政治家という立場の人間になるわけです。彼らは、まず間違いなくそうした「弱い」人間の代理人としての立場を背負っています。

なので、「おれは喫煙者だけど増税歓迎だもんねー」とか、「おれは子持ちだけど教育費自己負担も大歓迎だよー」という言明は、ある意味、背負っているものの軽さしか表していないのではないかと思われる場合があります。多くの人間の立場を背負っている人間が、自己の立場を棚上げしたほうが逆説的に、背負っている人間も含めた自己の立場を有利に進めるという深い洞察はありえます。しかしそれを実行するには、洞察を共有できない人間の同意を取り付けられるだけの、説得力なり人徳なりが求められます。福田前総理にはそれが欠けていたのでしょう。

先日、どこぞのショッピングモールの受水槽に男性の遺体が長期間浮いていたなんていう話がありましたが、あのニュースは、あのショッピングモールを利用していた利用客としては、できることなら知りたくないような情報だったのではないかと思います。もし健康被害などが発生していないとすれば、少しくらい雑菌が増えたり有機物が増えて弱い臭気がある水を飲んでしまったことなどよりも、死体が浮いた水槽を経た水を口にしてしまったという精神的ダメージのほうが、桁違いに被害として大きいように思います。

そういう意味で、私たちは上手に騙されていたい存在なのではないかと思っています。その一方で、雪印の大量食中毒事件のようなものもありました。食品に合成添加物が使われていようと、廃品の再原料化が行われていようと、そこに実害がなければ構わないと思います。しかしながら、どうせどこでも似たようなことはやっているし、どうせ客は知りもしないのだから、何をやってもいいんだというようなことになると、雪印や姉歯事件のような極端な不正にまで発展してしまう。

こうした実害が発生するレベルの極端な不正を防止するのに、二つのやりかたがあります。ひとつは、事業に透明性を持たせ、言い換えると企業の秘密を制限し、外部からの検査によって事業の健全性を確保するやり方。もうひとつは、人間個人個人の倫理観を教育によって統一し、個々人の自発的判断に任せるやり方。日本は、後者から前者へのシフトを急速に進めてきましたが、ここへきてマナーや思いやりが欠けているなどといった、個人の倫理観の重要性を再評価する動きも活発になっています。

工学的にはこの両者の最適点が経験的に導かれていて、個人、家庭、地域社会や勤務先、自治体、国家、国際社会、といったように、その規模によってレイヤー(層)を分けます。そして、自治体と国家などのように、隣接したレイヤー間に厳密なプロトコルを規定し、それを絶対に遵守させるようにします。ただしそのプロトコルは過剰に複雑になってはならず、また、下位レイヤーの実装(中身の仕組)に強く依存する内容になってはならない、というようになっています。

このブログや電子メールなどのウェブシステムを直接駆動するプロトコルはHTTPやFTPやSMTPといったものになりますが、その下位にはインターネットそのものであるIPやTCPなどのレイヤーがあり、その下層にはIEEE802勧告に従った多様なネットワーク機器が働いています。理想的には、TCP/IPさえ実装することが可能であれば、その下位プロトコルはどのようなものでも構いません。このような緩やかかつ厳密な階層間プロトコル群が、全地球的情報通信システムを支えています。

このようにして、個人的な感覚や信条、家族として共有する文化、地域社会や勤務先での諸ルール、自治体の条例、行政府の政令と法律、国家間の条約などが、単純だが厳格な取り決めでつながれていて、なおかつその取り決めが許す範囲内で自由度を残し、結果として多様性を保証するというのが、理想的な複雑系システムの姿です。この経験則を守っていないシステムでは、その規模が大きくなるにつれて急速にコントロールが破綻するようになります。

塩野七生さんの描く「ローマ人の物語」は、多神教を奉ずるローマ人の拓いた大帝国が、排他的一神教であるキリスト教の、排他性そのものによって崩壊していくという骨格になっています。それでもユダヤ教に比べればまだキリスト教のほうが、民族的排他性がない分だけ一般性がありますが。ルネサンス以降のキリスト教世界の哲学は、キリスト教が説いてきた絶対性と排他性を疑うプロセスでしたが、現代でもまだ聖書記述と科学的知見の折り合いは不十分であるように見えます。

聖書を信奉していようが、タルムードを信奉していようが、クルアーンを信奉していようが、三蔵経を信奉していようが、パーリ語仏典を信奉していようが、記紀を信奉していようが、マルクスの資本論を信奉していようが、ドーキンスの「利己的な遺伝子」を信奉していようが、あるいはお母さんの言葉を信奉していようが、どのような個人的な信条も吸収して平和な生活をもたらすような統治システムを構築可能とするような、そういう哲学的解決を求めています。

が、そんな大仕事がいったい誰にできるのか、という気もします。銃弾でも、言論でも、経済でも、もうしばらく戦争を繰り返さなければ、八紘一宇の世界国家樹立は成らないのかもしれません。自民と民主の戦いも、その局地戦なのかもしれません。

大風呂敷を広げすぎましたが、まぁ、だいたいこんな感じです、クリントン大西さま。
[PR]
by antonin | 2008-12-13 03:01 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://antonin.exblog.jp/tb/10026369
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
<< 箇条書きメモ 不可逆過程 >>


フォロー中のブログ
外部リンク
外部リンク
ライフログ
ブログパーツ
Notesを使いこなす
ブログジャンル