安敦誌


つまらない話など
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エレキな雑談(1)

日経エレクトロニクスを定期購読して、もう5年ほどになる。タテマエ上の目的はビジネスに必要な最新知識を手に入れることだが、ホンネは単なる趣味であって、楽しいから読んでいる。かつて電子材料の開発をしていたことがあった。「電子業界」の末席にいたとはいえ、顧客とエレキな話をする機会はほとんどなく、淡々と物性値および納期と価格に関する会話を続けていた。それが大事な仕事の本分であるのは重々承知していたが、単調なロジックと膨大な作業量に嫌気が差しているというのが正直なところだった。

30歳になるころ、ITバブルのおかげで電子材料業界は潤い、勤務先の研究棟が増築された。それまで、工場の隅に隔離されるように建つ、少量高価格品の製造棟でひっそりと研究を続けていたが、新しい研究棟は収容規模が大きく、各地の工場に分散していた研究部のメンバーに混ざり、私も日の当たる研究室へと移動することになった。その新棟に、研究部が定期購読している日経デバイス誌と日経エレクトロニクス誌が置かれていた。

本業としてはデバイス誌のほうを読むべきなのだが、日ごろ物性値のうずたかい山に囲まれて嫌気が差していた私は、華やかなエレクトロニクス誌のほうに惹かれた。そこには本当の「電子業界」の話題が満載で、ロジックで語ることのできる話題が豊富だった。一消費者としても、店頭に並んでいる電気製品の開発動向を知ることができ、最新商品が店頭に並ぶときまでには暗号のようなスペック情報の本当の意味が理解できるようになるという楽しみもあった。

エレクトロニクス誌を3年一括払いで定期購読する場合の料金を月割りで計算すると、週に1冊だけ読んでいたマンガ雑誌に費やしていたコストとほぼ同等であることが判明した。30代に入った自分自身のアクセサリとして、携行する雑誌をモーニングから日経エレクトロニクスに変更することに決めた。これは、悪くない選択だったと思う。

ブランドには物語が必要である、という説を読んだことがある。「プロジェクトX」などは、ドキュメンタリーではなく、ものづくりの物語だった。「イリアス」がドキュメンタリーではなく物語なのと同じである。人間というのは生理的にこういう物語に惹かれるのであって、決して物そのもののに関する語りに惹かれるのではない。あの番組は皮肉にも広告を取らないNHKによって放送されたが、ああいったものは本来、メディアではなくメーカーの広報宣伝部の仕事である。

あのような魅力的な物語が、商品の価値を高め、商品を造ることのできる企業の価値を高め、商品を創ることのできる開発者の価値を高めるのだ。それを怠ったことが、理系離れの最大の要因だろうと、個人的には思っている。かつてAppleが打ったMacintoshの広告に、こんな文言があったように記憶している。「あなたは実際にケースを開けて見ることはできませんが、ケースの裏面には、開発者たちの名前が刻まれています」 この物語がブランドを作る。技術者冥利に尽きるというものだろう。そんな技術者になってみたいと思うだろう。

そういう意味で、エレクトロニクス誌を読むようになった私は電子製品の物語を知ってしまった。実際には現実的貧乏と賢い妻のおかげで散財に走る機会は少なかったが、開発が困難な技術に関しては、その有用性だけでなく、技術の完成度そのものにも関心を覚えるようになった。

--

私的な話が多くなってしまったので、一旦仕切り直します。
つづく
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by antonin | 2009-01-07 22:39 | Trackback | Comments(0)
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