安敦誌


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ミリンダ王と渡辺夫妻の問い

去年の後半は脳がパンク状態で本など読めた状態ではなかったが、最近は少しずつ本が読めるようになってきた。文章を読んでも内容が頭に入りにくかったのが、集中して読めるようになってきた。図書館に行って本を読むのだが、つい魔がさして本を借りてきてしまった。これでは未読が減らない。

時間と人間 (自然選書)

渡辺 慧 / 中央公論新社



三部構成になっていて、第一部と第三部が夫の渡辺慧さん、第二部が妻の渡辺ドロテアさんによるもの。各部が三章構成になっていて、各章は雑誌に寄稿された論文を若干改訂したもの。

第一部は物理的な時間と人間から見た時間に関する情報物理学者さんの考察で随想形式になっている。第二部はドイツ文学、特に近代哲学と仏教の関係を時間論も交えて論じていて、これも興味深い。第三部は確率論を通じた時間解釈で、慧さんがIBM在職中のシミュレーションで得た知見をもとに時間論が記されている。条件付き確率で若干の数式というか記号が出てくるが、説明上使われているだけで演繹や証明は無いので読みやすい。

時間論、可逆・不可逆論、確率的情報論、ボルツマンのH定理、生体のネゲントロピー現象などの興味深い話題に加えて、奥さんのドロテアさんによるドイツ哲学と仏教の関係に関する論文が挟まれていて、どれも非常に興味深い。偶然、同時に借りてきた「ミリンダ王の問い」にさえ言及されている。なんという奇遇な、なんという縁深い。遅読の私には2週間程度では読み切れないので、できれば手許に置きたい本だが、Amazonで中古価格を見ると¥8,000よりとなっていて手が出ない。まぁ他に借りる人も少ないだろうから、図書館から繰り返し借りてくればいいだろう。

ミリンダ王の問い―インドとギリシアの対決 (1) (東洋文庫 (7))

平凡社



世界史の雑学本を整理していたら、「ミリンダ王の問い」という仏教経典があることを知ったので、図書館で借りてみた。アレキサンダー大王の東征によって獲得された地域は大王の死後分割されたが、そのうち最も東になる西北インド、今のパキスタン東部まで差し掛かる領土を引き継いだのが、ギリシャ人の王メナンドロス(ミリンダ)。そのミリンダ王が当地の賢人を招いて問答をしたうち、最も優れた答えをしたことで歴史に名を残した仏僧、ナーガセーナとの問答集。3分冊になっている第1冊だけを借りてきた。

ギリシャ哲学を理解するミリンダ王が、ギリシャ的常識から見た仏教哲学の根本思想に対する疑問と、それに答えるナーガセーナの問答があまりに優れていたので、その対話がパーリ語仏典として残されたという。漢訳仏典にもいくらかの資料があるらしい。この対話にはミリンダ王も感銘を受けたらしく、その後は仏教を保護する善王として扱われている。死後にはその遺骨が仏舎利のように仏教徒に求められたという伝説も残っている。

ゴータマ・ブッダはバラモン教の複雑な教義や戒律を否定し、絶対的な真理などない、不可知な世界にとらわれるな、というような事を説いたが、ブッダ入滅後に再発展した仏教は、必要なら神秘世界への信仰も利用して、理解が可能なようであれば絶対的真理はないという仏教究極の悟りへ至るのもまた良し、という具合のところへ回帰していく。

ミリンダ王とナーガセーナの対話では、比較的原始仏教の世界に近い、唯物にも近い無常の仏説が比喩を多用して説明される。翻訳も現代的で、仏典らしからず水の如く読みやすい。この本もまたいずれ読み返してみよう。
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by antonin | 2010-01-06 18:39 | Trackback | Comments(0)
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