安敦誌


つまらない話など
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閨秀だらけの世の中で

安敦誌 : 愛しのクサンティッペ

ここで、「ソクラテスの妻」を書いた佐藤愛子さんを「女流作家」と書いたが、佐藤さん自身がもっと味のある言葉を使っていた。図書館で借りてきた古びた本には掲題作の他に2編の短編が併載されていて、その中に、作中の三姉妹のひとりが語る「閨秀作家」という言葉があった。辞書を引いてみると、学問に秀でた女性を閨秀と呼ぶらしい。なるほど、そういう言葉もあったのか。

もう作家自身の性別が女性だからといって特別に女流作家などと呼ぶ時代ではなくなったが、昨年12月号の文藝春秋には「女性作家短編を読む」と題して小川洋子さんの作品が掲載されていた。文春の読者層というと企業経営者の多い60歳前後をターゲットとしているようだが、その世代ではまぁ「女流」が「女性」に一般化される程度の遠慮はあっても、やはりまだ昭和の文化を残しているようだ。

新宿の大手書店に並ぶ新刊本を見ても、女性作家は珍しいものではなく、むしろ多数派になってきている。小説やエッセイほど優勢ではないが、学術書もドキュメンタリーも書く。著者が女性であることを特筆するほどのことではなくなっている。目で見る絵画と耳で聞く音楽はあくまで別のものだが、かといってどちらが甲でどちらが乙ということはない。そういう具合に、文芸に限らず多くの職業領域に女性は進出し、そして世代によってその位置付けというか労働女性の色合いは微妙な勾配を描いている。

閨秀の「閨」の字は閨閥などという単語にも使われていて、女性やその集団を意味する文字なのだけれども、漢和辞典によると寝室(ねや)という原義を持つらしい。門構えを持つことから単に睡眠をとる部屋としての寝室ではなく、文字が誕生してしばらくの間それを独占していたような高貴な人々が屋敷に設えていた後宮のようなものを指していたらしい。そういうところから秀でて現れた女性を指す閨秀という言葉には、多分に「女だてらに」というような気配を感じる。

閨秀から女流、女流から女性になって、ついには特に言及されることもなく優れた女性が世に溢れ出て、優れていない男たちはオヨヨ、オヨヨと狼狽する。が、昔のほうが良かったとするのは恐らく誤りで、世の中は確実に良い方向に向かっているのだろう。というよりも、機械的な生産能力まで含めた社会全体の状況に対して、着実に適応していっていると言った方がいいかもしれない。善し悪しということではなく。

とはいいながら、文化が変化していく過程で三日月湖のような地形に封じ込められた男たち、あるいは女性たちは、変化に苦情を述べながらもそれなりに生き続けている。専業主婦の母に育てられて身の回りの世話のできない男たちであるとか、高給取りの父に育てられて倹約を知らない女たちであるとか、そういう「残党」が生息している世代がある。ただ近い将来絶滅するにしても当面は同類も少なくないわけで、まずまず楽しくやっていきましょうか。
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by antonin | 2010-02-04 06:46 | Trackback | Comments(0)
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