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安敦誌


つまらない話など
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ネット時代のコンテンツ提示方法

また、頭の運動的な。
陳腐なタイトルだが、それが効果を持つ場合があることも知っている。


さて、個人的にはニコニコ動画のアカウントを持っていないので詳しいことは知らないのだけれども、あれは結構興味深いことをしている。もう誰かが書いていたけれども、非同期的に寄せられたコメントを、映像コンテンツのタイミングをキーとして同期的に再生することで、擬似同期的なコミュニティ形成を実現しているという点が面白い。そのコンテンツを今まさに見ているのが自分ひとりだとしても、画面上では賑やかにわいわいがやがやとコメントが乱れ飛んでいるのを眺めることができる。

インターネット以前のコンピュータネットワークが持っていた主要コンテンツは、電子メールと電子寄せ書きだろう。「電子寄せ書き」と見慣れない用語を使ったのは、電子メールが比較的単一の名称で呼ばれてきたのに対し、後者は掲示板だとかメーリングリストだとかネットニュースだとか、複数のシステム形式と名称を持っていたからだ。技術的なものは別として、機能としてはどれも共通していて、特定のトピックに興味のある複数の人が書き込んだものを、メンバー全員が読み出せるという仕組みになっている。書き込み読み出しともに、プッシュ型とプル型だとか、登録型と非登録型など手法面での細かい違いはあるが、目的としているコミュニケーションのスタイルはどれも同じようなものである。

電子メールは、電子メディアを使った迅速で低コストな通信を実現しつつも、電話と違って発信者と受信者が同じ時間を共有せずに情報の交換をすることができる。電子寄せ書きもまた、電子メディアを使った迅速で低コストな通信を実現しつつも、電話会議などと違って全員が同じ時間を共有せずに情報の交換をすることができる。インターネット時代に新しく発生したコミュニケーションメディアの多くは、こういった特徴を活かして従来のメディアが果たしてた役割のいくつかを引き継いできた。

ニコニコ動画がやっているのは、テレビを一人で見るのではなく、家族や友人と一緒にテレビを見ながら番組の内容について(いわゆる「茶の間」で)わいわいと会話をするという楽しみ方を、電子寄せ書きと同じようにして非同期化したものと言える。アメリカ人などは映画館で映画を見てもあれやこれやとリアクションして、一人でビデオを見るのと劇場で映画を観るのとでは、明らかに違った体験をするようだ。

ここで少し理屈めいた話をすると、理論的には「記録」とは「過去から未来への片方向通信」と等価であると言える。通信では、途中でデータエラーが発生するかもしれないし、通信路が故障するかもしれない。記憶では、読み出し時にデータエラーが発生するかもしれないし、記録デバイスが故障するかもしれない。そういう場合には「そこから先への通信」は途絶することになる。

「そこから先」とは、通信では距離的なものになるし、記録では時間的なものになる。そして必要なコストを掛ければそうした故障による通信の途絶を回避できるのだが、そこで使われるのはエラー訂正符号であったり、デバイスの二重化であったりと、技術的に見れば通信でも記録でも同じようなものになっている。

記録の世界では昔から、記録された情報は未来の「いつの時点で」「どの情報を」利用するのかがはっきりしていないため、「必要になった時点で」「必要な情報だけ」を、膨大な過去の記録から取り出す検索技術が発達している。この検索技術、もっと還元してしまえばデータベース技術を、通信路に組み込んで活用したものが現在のネットワーク技術の根っこになっている。

そういう見方で考えると、ニコニコ動画は過去の膨大なコメントの中から、特定の映像コンテンツの特定シーンという非言語的な検索キーを使ってデータベース検索をしている、というように一般化してとらえることができる。ニコニコ動画では「動画ファイル名」と「開始時点からの秒数」という、一意のインデックスに還元可能なデータが抽出でき、これによってユーザーは過去のユーザーたちからのメッセージを受け取り、擬似的な共感体験が可能になる。

これを電子書籍でやるとどうなるかというと、電子書籍を読みながら最下行に目をやると、今まさにユーザーが読んでいるその文章を過去に読んだユーザーが、そこで思った感想を注釈のように書き込んだコメントを発見する、というような感じになるだろう。もちろん、読書に集中したいからそのコメントが鬱陶しくなるユーザーは、過去のユーザーによるコメントの表示を停止することができる。

言ってみれば、数千人が書き込みをしながら読んだ古書が、新品同様の品質で届けられるというようなイメージになる。だから、自分は著者のこの意見に納得できない部分があるとか、あるいはこの一文で目から鱗が落ちたとか、まさにそういう感想を持った瞬間に他のユーザーの膨大な意見から検索して表示することで、あたかも輪読会でわいわいと議論しながら本を読んでいるような体験をすることができるだろう。

そして特にコメントが見当たらないようであれば、自分が一筆書き足すことができるようになり、場合によってはそのコメントを著者自身が目にする、などということになる。読者からのフィードバックはすでに豊富だが、このページのこの文章について、というピンポイントのフィードバックがリアルタイムで入るというのは、やはりこれまでにはない経験だろう。翻訳本で意味の通らない部分などがあっても、電子書籍なら毎日改訂版を発行するということも可能だろうから、いずれ翻訳本は電子書籍でベータ版をある程度流通させ、誤訳を訂正してから印刷開始、などということになるかもしれない。

こうして概念として一般化した技術は、横展開がいくらでも可能になる。予備校の衛星中継授業というようなものはすでに存在するが、録画されてネットで放映される授業映像に対し、生徒の質問と回答が徐々に追加されていく、というようなものも考えることができる。すると質疑応答が活発で、しかも授業の進行そのものが中断されないというような、新しいスタイルの擬似同期授業クラスが実現されるかもしれない。地理的に離れている生徒同士が参加するのは当然として、数年前に同学年だった生徒でさえ「クラスメイト」にすることができる。もっとも、このスタイルでは授業内容さえ理解できれば年齢は関係ないだろうけれども。

ネット上で、リアルタイム通信ではなくサーバー上のストレージデバイスを介して非同期的に配信されるありとあらゆる情報に、このような擬似同期システムを取り付けることができる。個別の配信システムがこのコメントシステムを最適化した上で組み込むということも当然できるだろうし、この擬似同期コメント機能に特化したサービスを単独でネット上に提供し、ブラウザから特定サイトの特定場面にユニークな検索キーを送信することもできる。検索キーに対して1秒以内のレスポンスでコメントが返ってくるようにしておくと、ネット上のありとあらゆるサービスにこのような機能を付与できるようになる。しかもコンテンツの提供側ではなく、受信するユーザーの意志で付与できるようになる。ここまでくるとかなり面白いネット体験になっているだろう。

非英語圏で活動する日本人としては、コメントはいったん全て中間言語に落としてから記録され、入力時の言語にネイティブなユーザー以外には翻訳コメントとして表示されるようなサービスになっていると、より世界が広がるような気がする。まぁ、もちろんこれも設定でオフにできる必要はあるだろうけれども。

googleかSFCあたりでシステム開発して、ベータサービス提供してくれよ。もちろんいきなり英語版と中国語版からローンチという具合で。収益モデルが難しいような気はするけれども、結構面白いと思うけどな。
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by antonin | 2010-02-15 12:03 | Trackback | Comments(0)
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