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大正新脩大藏經テキストデータベース ホーム 「大正新脩大蔵経」がネット上に公開されていて、有り難いやら恐ろしいやらという感じで、ダラダラと眺めてみた。密教部の儀軌だとか、妙法蓮華経だとか、長阿含経だとかを流し読みしてみる。それぞれの文章の意味はだいたいわかるのだけれども、経典として何を説いているのかまではわからない。システム設計の詳細について知識のないまま、文法上だけは理解可能なソースコードを読んでいるような感じに似て、内容の理解には程遠い。 密教の域に達するには阿闍梨の伝法を乞うしかないのだけれども、顕教の範疇であれば、文字の論でもそれなりのことは知ることができる。それにしたって分量が多すぎるわけなのだけれど、まあ玄奘三蔵さまが天竺から命懸けで仕入れた以上の仏典が自宅で手軽に読めるのだから、福智は無辺なれど、ボチボチ読んでいったらいいんじゃないかという気もしている。 大蔵経のような、書かれた年代もまちまちで外来語の音写を多数含むような漢文のデジタル化というのは、いろいろと厄介な問題を含み持っていて、よくぞここまで達成されたなという気がする。学術的成果ではもちろんあるのだけれども、それが宗教的聖典であるという動機なくしては、ここまでの仕事はやはり成されないような気もする。 英語を中心とした表音文字のシステムでは、音素ないし音節ひとつに対して文字コードが与えられていて、それが連なってできた単語の表記をどのようにするかというのは表示側のタイポグラフィー技術に任されている。一方漢字というのは一文字が一単語を成していて、つまり単語ひとつに対して文字コードが与えられるスタイルになっている。そしてタイポグラフィーの問題はフォントセットが一手に担うことになっている。 そういう問題があって、特定の時代の、特定の分野でのみ使われる文字が「発見」されたりすることが、漢文の世界ではときどき発生する。大蔵経などはそういう厄介な文字の宝庫であり、たいていは一般的な文字に置き換えることが可能なのだけれども、それには単語としての漢字をどの意味に読み取るかという解釈研究が必須になってしまう。"color"と"colour"にそれぞれ固有のコードを付与するエンコードシステムを想像してみると、それがどれほど厄介なものかわかるかもしれない。 しかし逆に考えると、現代中国語というのは単語単位で一意のコードを持つという、世界でも珍しい言語エンコードシステムを持っているとも考えられるわけで、ひょっとするとコンピューターによる自然言語処理では今後最先端を走る可能性もありうる。まぁgoogleあたりじゃ既に、各国言語の単語単位で一意の内部コードを与えて処理したりしているのかもしれませんが。 ちょっと面白いのが、超ウラン元素の命名について。私が中学生のころに使っていた教科書では、原子番号の一番大きな元素は確かローレンシウムだった。ちなみに中国語では命名されている全ての元素に対して一文字で表記できるような文字が定められていて、ローレンシウムには「鐒」という字が当てられている。ところが、世界各国の素粒子物理学の研究所が粒子加速器を使って重元素を合成し、ある程度確実なデータが取れたところで命名権を主張している。粒子加速器の発達に従い、命名された元素も徐々に増えている。 ちょっとWikipediaで調べてみたところでは、原子番号111番のレントゲニウムあたりまではUnicodeで文字コードが定められているらしい。化学物質の命名に関する国際的な規約を作っているIUPACが元素名と元素記号を定めると、中国の「国家语委复函全国科学技术名词审定委员会」というところが、それに相当する漢字を定めるらしい。それが中国語のローカルコードやUnicodeに反映されるプロセスまではわからないが、とにかくそういうことは現在も起こっているらしい。 錀 - 维基百科,自由的百科全书 第111号化学元素中文定名为“钅仑”-国家对外汉语网 真言宗でお世話になるサンスクリット語の文字は、伝来当時の悉曇文字による縦書きというスタイルをとっているけれども、そのほとんどはデーヴァナーガリー文字という現代インドで使われる文字で表記可能らしい。古代の漢詩を現代中国語で読むとそれなりに韻を踏んでいて美しく響くのだけれど、仏典にある真言を現代ヒンディー語の音で読んでも、やはりそういう神秘的な響きになるのだろうか。一度聞いてみたい。
by antonin
| 2010-04-30 02:08
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