安敦誌


つまらない話など
by antonin
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
検索
最新の記事
酔論
at 2017-08-22 01:23
婦人画報創刊号
at 2017-07-07 01:36
アキレスと亀
at 2017-05-02 15:44
受想行識亦復如是
at 2017-05-02 03:26
仲介したことはあまりないが
at 2017-04-29 03:36
サンセット・セレナード
at 2017-04-12 23:17
水分子と日本人は似ている
at 2016-06-04 01:49
ほげ
at 2015-06-05 03:46
フリーランチハンター
at 2015-04-17 01:48
アメリカのプロテスタント的な部分
at 2015-04-08 02:23
記事ランキング
タグ
(296)
(148)
(122)
(95)
(76)
(65)
(59)
(54)
(45)
(41)
(40)
(39)
(33)
(31)
(28)
(27)
(25)
(24)
(22)
(15)
最新のコメント
>>通りすがり ソ..
by Appleは超絶ブラック企業 at 01:30
>デスクトップ級スマート..
by 通りすがり at 03:27
7年前に書いた駄文が、今..
by antonin at 02:20
助かりました。古典文学の..
by サボり気味の学生さん at 19:45
Appleから金でも貰っ..
by デスクトップ級スマートフォン at 22:10
以前の記事

明るいナショナル

このところ薬がよく効いており、おかげで悩みも何もなかったのだが、副作用というのかなんというのか、どうも何ごともどうでもよくなってしまう傾向があった。震災のショックも放射能の心配も、まあなんとかなるだろうという、根拠のない楽観があって丁度良かった面もあるが、一方で世の中年には果たすべき義理というものが数多くあり、そういうものもすっかりご無沙汰になってしまっていた。コドモたちにイトコができそうだとかいうような話でも10日あまり放置してしまって連絡もせず、気がつくと芽吹いたばかりの薔薇の木までが枯れ始めていて、これはいかん、ということで、少し(医者には無断で)薬を減らしてみた。

以前掛かっていた医師は不満を訴えるとすぐに処方を変更したので、こちらとしても経験の積み上げがなかったのだが、現在お世話になっている医師は余程でないと処方を変えないので、おかげでこちらもいろいろと細かい観察が可能になった。減薬や断薬をするとどういう事態になるかというあたりまで含めて、体験的にいろいろとわかるようになったので、自分自身と今の処方の関係に限って言えば、おそらくは世界の中で自分が一番詳しいと言えるだろう。あらゆる患者とあらゆる処方の関連を扱う医師とは全く別の次元ではあるが、やはり患者自身が一番良く知っている分野というものはある。

しばらくブログの文章を全く書かなかったのも、震災に対する自粛というのではなくて、何かを書こうという自発的な欲求がほとんど起こらなかったからでしかない。まあ、日々移り変わる非常事態に対してはただ黙っているという態度も悪いものではないので、書く気が起こらないならそれもまたいいだろう、という判断もあったけれども。で、一日減薬しただけで、こうして何かを書こうという気が復活するのだから面白い。

3月11を境に変わった日本について書くのもいいし、身近にもいろいろの変化があったので、そういうものについて書くのもいいのだけれども、なんだか今はもっと浮世離れしたことについて書いておくのがいいような気がしている。もう少し減薬が板についてきたら、浮世の義理を果たすついでにいろいろ書いてみてもいいだろう。あるいは、その状態になって初めて環境の激変に実感が出て、大慌てするのかもしれないが。

--

ということで、お題は「頑張ろう、日本」というあたりの空気について。「頑張ろう」という言い回しは、当初「頑張れ」であったものが、確か阪神大震災の時だったと思うが、「こんなに頑張っているのに、これ以上何を頑張れというのか」というような被災者の意見があったとかで、その対策でオリックスの球団あたりが言い出した表現だったように思う。

最近は「日本は強い国」というような表現も出始めて、要するにナショナリズムなのだけれど、こういう火事場のバカナショナリズムは非常に健全でいいものなのではないだろうかと思う。ナショナリズムの悪いところは簡単に排他的になったり独善的になったりするところで、その原因の大体は嫉妬とかそれに類する気分から出ている。しかし今回のような災害では、その発生源が嫉妬ではなく、もっと生活の危機に根ざしたものであり、加えて諸外国からの同情に満ちた支援などにも囲まれているので、こういう時こそ健全なナショナリズムの出番なのだろう。

ナショナリズムというと単純に否定的な感情を連想するように教育を受けたが、ナショナリズムも要するに効果の強い劇薬のひとつであり、副作用に注意して適切に用いれば、こういう災害時には最大の効果を発揮するのだろうと思う。宗教というとそれだけでカルトや既得権商売を連想して嫌悪感を示す人も多いが、宗教というのをよく調べてみて、そしてその根の部分は今でいう心理療法に相当するものなのだろうということが知れてからは、以前よりいろいろのものを受け入れることができるようになった。ナショナリズムもその手の心理技術のひとつなのだろうという気がする。

もちろん今の日本に広がる災害ナショナリズムの中にも危険な副作用の芽はあって、それはかつて「非国民」という表現に象徴されたような気分であり、今でいう「不謹慎」という言葉に見られるあたりの同調圧力にある。けれどもそういう副作用には注意を払いつつも、同じ土地や同じ組織を共有する者同士で、それまでは恥ずかしくて見せられなかったような、気分の良い仲間意識の発露をしてみるのもいいのではないだろうかと思う。そういう力で災害救助や社会復旧が進めば更にいいだろう。


今回の震災による犠牲者数は、死者行方不明者を合わせ、多く見積もって3万程度とする。福島、宮城、岩手の人口を合わせると600万程度で、人口比にすると0.5%程度の死亡率ということになる。新型インフルエンザが話題になったときに、このインフルエンザと非常に類似しているという歴史上のスペイン風邪について調べていたのだが、そこでもやはり、北半球の人口に対して1%程度の死亡率という数字を見た覚えがあった。なんだ、その程度か、とも思う一方で、突然人口の1%が失われるというのは相当の悲劇なのだな、という印象も持った。

今回の広域災害の状況と考え合わせて、死亡率1%という災害がどの程度むごたらしいものなのかということが、かなり実感を伴って理解できた。世界を100人の村に例えてしまうと、そのうちの一人が事故死したという話になってしまうのだが、180人いた同級生の一人をバイク事故で失ったときの気分を思い返してみると、まあそういうものなのかなという気もする。加えて今回は生き残ったうちの20人くらいも財産をひどく失っているわけで、そういう被害も加わってくるのだから、かなり厳しい状況ということになる。

それでも、99.5%が生き残ったというのは、大きな希望になるだろう。地震だけなら倒れない家、火災が燃え広がらないビル、津波に関する知識と訓練。もちろん今回の事態に対しては不十分な面はあったのだけれど、日本で同様の規模の地震を探すと9世紀に遡るというような大地震に対して、99.5%の人々を守ったというのは大したものだと思う。

被災地ではまだ食料も満足に行き渡っていない地域も残っていると聞くが、食料は欲しいが、炊き出しはぜひ自分たちにやらせてくれ、施しではなく仕事をくれ、というような声も上がっているらしいから、こういう日本人が99.5%も残っていれば、遠くない将来に劇的な回復を見せるだろう。原発などは心配だし、我が家からそう遠くない土地でも下水道が使えない地域が広がっていたりして、予断を許さない部分はまだ残るのだけれども、被災地の人々が自力で回復していくのを、少なくとも邪魔をしないようにしたい。

近所のスーパーへ行くと、茨城県神栖産の、青々として立派な葉振りで美味そうな水菜が一把68円で安売りされていたので、同地産のピーマンと一緒に買ってきてサラダにして食べてみた。市場ではダンボール入りが10円単位で投売りされているなんていう噂も聞こえてきており、こういう事も一日も早く回復して欲しい。関東・東北太平洋沿岸の産品を積極的に買おうという程度のナショナリズムなら、かわいくていいんじゃないかと思う。

--

放射能の害というあたりについても、また改めて書いてみようかと思う。巨視的には確率論となる現象でも、微視的には必然の現象の積み重ねであったりして、議論は案外に直感を裏切る展開になる。それはそれで興味深い話になるのだが、時間も時間なのでこれにて。
[PR]
by antonin | 2011-04-04 00:31 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://antonin.exblog.jp/tb/15172032
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
<< 熟練 雑感 >>


フォロー中のブログ
外部リンク
外部リンク
ライフログ
ブログパーツ
Notesを使いこなす
ブログジャンル