安敦誌


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不公平な放射能の害

自分は放射線医学の専門家でもないし、原子物理でも原子力工学でも生理学でも医学でも専門家ではないので、これから書くことは素人の考察ということで話半分に受け取っていただきたい。

--

コップを落としたとき、高さ10cmから落とすと2%が割れた。高さ20cmから落とすと20%が割れた。高さ1mから落とすと30%が割れた。高さ10mから落とすと100%が割れた。

これは適当にでっち上げた数字なのであまり本気で分析しても意味が無いのだが、放射性物質が持つ有害性の現れ方は、このように確率的になるということで比喩を持ち出した。放射線被曝量には致死量があって、ある量を超すと、被曝した人は必ず死ぬ。これはJCOの臨界事故のような事態であり、環境被害を考えずに純粋に人間の被曝強度だけを問題にすると、第7水準に達した今回の福島第一原発事故でさえ、この強度の被曝をする可能性というのは小さい。少なくとも原発の修復作業をする人以外には起こりえない。

で、今回の事故で我々一般人が気にしなくてはならない水準というのは、もっと低量の被曝ということになる。この程度の被曝量だと、生きるか死ぬかというのは確率的な問題になる。もっと言うと、影響が出るか出ないかという部分も確率的な問題になる。同じ量の被曝をしても、運の悪い人には障害が起こるし、運のいい人には影響が出ない。そして、もっと突っ込んだことを言うと、運の善し悪しだけでなく、先天的な体質というものも、被害者になるかどうかの分かれ目になることがある。

短期間に死亡してしまうような被曝量を別とすると、被曝による被害というのは、各種のガンとして現れてくる。被曝からガンの発症に到るまでには、いくつかのステップがある。

放射線にはいくつも種類があるが、今回問題になるのは核分裂ではなく崩壊による放射線なので、アルファ線とベータ線とガンマ線ということになる。アルファ線というのはヘリウム原子から電子を剥ぎ取ったようなもの(アルファ粒子)が高速で飛び出したもので、粒子が比較的大きいのですぐにほかの原子にぶつかって止まるが、エネルギーはとても大きいので、アルファ線が通過した部分の影響は強く出る。ガンマ線はX線に似た電磁波で、通過した部分の影響はアルファ線よりずっと小さいが、その代わり遠くまで到達する。ベータ線は電子が高速で飛び出したもので、到達距離も経路での影響も、アルファ線とガンマ線の中間的なものになる。

アルファ線にしてもベータ線にしてもガンマ線にしても、人体への影響の出方としては分子中の電子をはじき飛ばしてイオンにしてしまうというところから始まる。その大部分は無害だが、一部は運悪く細胞核中のDNAの水素結合部分や共有結合部分を破壊してしまう。そのかなりの部分はまだ無害だが、一部は運悪くDNA中で実際に生命活動に使われている遺伝子部分を破壊してしまう。

ガンマ線は外から来るのを防御しづらいという意味では厄介だが、放射線源である放射性物質を体内に取り込んでしまった場合には、至近距離から打ち出される破壊力の強いアルファ線が、より厄介ということになる。これが外部被曝と内部被曝では条件が違ってくる理由ということになる。

人間のように寿命の長い高等生物では、DNAがわずかに破壊されても修復する能力があり、大部分はそこで修復されるが、一部は運悪く遺伝子異常として残る。遺伝子異常が残っても、細胞の生存に致命的な遺伝子の異常にならなければ、機能的に不完全ではあっても普通の細胞と同じように生き残るが、一部は異常細胞となる。異常細胞が生まれても、免疫機構が正常に働いていれば、異常細胞の大部分は除去されて人体の健康に影響しない。

こういった、何重にもわたる偶然を重ねてようやく人間はガンになるのだが、それでも元の放射線量が強いと、結局ガンになる確率というのは無視できないものになる。しかし、ジャンボ宝くじでも当たる人には当たってしまうのと同じように、たとえ低量被曝であっても非常に運の悪い人は最終的にガンになってしまう。

もうひとつの問題は、人はそれぞれ個性があり、まったく同じではないというところにある。最初にあげたコップの実験の比喩でも、コップが全て同じ種類である場合と、薄手のガラスコップや強化ガラスコップやプラスチックコップが混ざっている実験では、出てくる数字の意味が全く違ってしまうだろう。人間も、外面と同じように体内も多様にできていて、ある人は遺伝子損傷の修復力が低く、またある人は異常細胞の除去能力が高い、などといった差がある。しかしその差というのは、現在の医学では倫理的な問題もあって正確に知ることができない。

よく宇宙線や鉱物放射線などの自然由来放射線は無害だというようなことを言うが、これも普通の人にとっては無害というだけのことであって、遺伝的に放射線の影響を受けやすいような人にとっては、自然放射線レベルでも病気になってしまうことがありうる。こういう人は高地に住むと寿命が縮んでしまうというようなことさえあるだろう。一方で、広島と長崎で二重被爆しても90歳まで生きた人もいた。かなりの量の被曝をしても影響が出ない人もいる一方で、少量の被曝でも影響が出てしまう人も、多くの人口の中にはいくらか存在する。

水道水への放射性物質混入のニュースでも明らかになったとおり、大人というのは放射能に対して強く、子供というのは放射能に対して弱い。脱皮をしたばかりのカニなどが天敵に襲われやすいのに似て、細胞分裂中の遺伝子というのは破壊に弱い。子供は成長のために全身で活発な細胞分裂をしているので、放射線による遺伝子破壊の影響を受けやすい。大人でも胃壁や骨髄などでは細胞が消耗品のように使い捨てられていくため、補充のための細胞分裂が活発に行われており、こういう部分はやはり放射線の影響を受けやすい。

そして同じ年齢であっても遺伝子破壊の修復能力や異常細胞の除去能力には遺伝的な個人差がある。親類がみな80歳過ぎまで生きているような家系に生まれた人は、先天的に遺伝子異常の影響を受けにくい体質を持っている可能性が高い。逆にガンや白血病などで若い親族を失った人は、遺伝子異常の影響を受けやすい体質である可能性が高い。

そういう具合であるので、統計的に見て影響がごくわずかという程度の放射線量でも、人によっては無視できない危険にさらされることになってしまう。逆に、結構な量の放射線を受けても全くなんともないような人も、一部には出てくることになる。放射能を怖がりすぎるのも良くないが、あまり甘く見てもいけないというのは、こういう事情による部分もある。

まあ、普通の体質の人であれば、自然放射線量よりちょっと高めのほうが逆にガンの発生が減るなんていうデータもあるらしいから、自分は普通だと思う人は、そっちの可能性に賭けて気楽に生きてみるのも悪くないんじゃないだろうかという気がする。
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by antonin | 2011-04-13 00:14 | Trackback | Comments(7)
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Commented by NAF at 2011-04-14 01:58 x
先日父が、似たようなことをもうしてました。
「被曝しても長生きするやつはするし、ちょっと被曝しただけでも
死ぬヤツは死ぬ」

楽観すぎてもダメだし、かといって心配し過ぎてもダメということで、
平常通りでいるよう努めることが一番だと思うようになりました。
Commented by antonin at 2011-04-15 20:36
コメントありがとうございます。

一般の人に安全であることをアピールするのも重要だけど、「ちょっと被曝しただけでも死ぬヤツ」のケアも本気で始めないといけないよな、という気はします。

なふんと仕事しても全く平気な人もいれば、すぐに倒れてしまう人がいるのと同じですね。平気な人はむしろ健康になるというところも似ています。
Commented by NAF at 2011-04-16 01:30 x
あの〜・・・さり〜げなく、わたくしを
放○性物質のような扱いになってませんか?
いきなり「まこういるす」を凌駕するってどうよ・・・

>平気な人はむしろ健康になるというところも似ています。

↑それって、ますます図太さに磨きがかかった、
 某ムコ殿のことでしょうか???(自爆が得意技なだけに??)
Commented by antonin at 2011-04-19 03:47
イメージ的にはセクハラ王子O君あたりでしたが、ムコ殿もその系列ということになるんでしょうか。

比喩としてはよくできていると思いますね。一度爆発すると決死隊を送り込んで事態の収拾に当たる必要があるとか、そんなあたりで。
Commented by oki_mo at 2011-04-28 19:16
なるほど!
なんかすごくわかりやすかったかもしれない(≧∇≦)☆
Commented by antonin at 2011-04-30 17:04
>おきちゅー

話半分に受け取っていただきたい(笑)
しかし、この記事とコメントでNAFについての理解が少しでも深まればうれしいです。

ご無沙汰してますが、そちらはいろいろと激動の3月だったようで、大変だったみたいだね。
小学校入学おめでとうございます(≧∇≦)☆
Commented by NAF at 2011-05-02 18:52 x
・・・・・・。
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