安敦誌


つまらない話など
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普通はそんなことしない

ユダヤ人と韓国人は似ている、なんてことを書いていたら、OSがフリーズした。なんかネットワークドライバがやられてるみたいだ。マルウェアでも入ったかな。明日にでもOS再インストールしよう。

--

ハッカーとは普通の人が1分以上かかる作業を10秒でやってしまう人たちの総称だ、なんて言葉があったが、それは表面的な結果であって、本質は別のところにあるだろう。

なぜハッカーが普通の人に1分以上を要する作業を10秒で済ませてしまうかというと、「そういう作業ならやったことがある」からだろう。普通の人が「普通はそういうことをしないよ」「それになんの意味があるの」「なんでそういうこと思いつくの」と言うようなことを、「ああ、そういうのなら何度かやったことあるよ」と言えてしまうのがハッカーの本質だろう。経験があれば、そりゃ作業は早い。

で、普通の職業上のプロの経験とハッカーの経験が違うところは、普通のプロは何か職業上の目的なり客の依頼なりがあって、その目的に沿った手段として、個別の作業に習熟している。ハッカーの場合そうではなくて、基本的に興味本位で動く。単に興味があるから実行してしまう。しかも、目的意識より好奇心が優先するから、合理的発想からは出てこないような奇抜な行動を取ったりもする。その結果として、常識的には解決不能に見えるような問題でも、「そういうのやったことあるよ」となる確率が高くなる。

そういうハッキングの中には、セキュリティー機構をなんとか解析して突破してやろうという分野もある。そういうのはクラッカーと呼ばれるのだが、泥棒がセキュリティで守られている価値を不正に手に入れるための手段としてクラッキングをするのに対して、ハッカーはクラッキング自体を目的とする。で、勝利者トロフィー代わりに何かを盗んでいくこともあるが、それは登頂した山に国旗を立ててくる程度の行為であって、目的ではない。

私の通った中学高校には個人持ちのロッカーがあって、その扉には南京錠や番号鍵がぶら下がっていた。安い番号鍵というのはナンバーリングが引っかかって難しいのだが、高級な番号鍵というのは動きが滑らかで、内部の構造が感知しやすかった。時効かどうかわからないが、早朝とか休日とかに学校に出る用事があると、そういう鍵を開けて放置したり、似たような鍵を入れ替えてみたりして遊んだことがあった。中身には興味がなく、手を付けたことはなかった。そういうクラッキングはそれ自体が面白く、数独なんかと本質的に変わらない遊びだった。

技術の世界にはそういうハッカー気質の人間が多い。だから、時計を分解したり、バイクのエンジンを分解したり、何かしらそういう馬鹿らしいことを無目的にやってきた経験がある。機械のたぐいを何度か壊した果てに、組み立てや改造のコツを身に付けたりする。数学者なんかも、そういうのと同類のハッカー気質を持っているようにみえる。

飛行機に興味がある人なら飛行機を作りたいだろうが、民間機は予算も規制も厳しいので、軍用機を作るほうが何かと環境が良い。作ったもので戦争をすること自体にはあまり興味が無いが、作った機体が空中戦で勝てるのは何より嬉しい。そういうものだろう。

子供の頃に興味本位の遊び方をしていたハッカーの中からは、ときどきとんでもない奴が出てくる。フォン・ブラウンとかコロリョフなんかはそういう部類の人だが、そういう人のとんでもないアイデアを具現化するには、アイデアを聞いて現物に仕立て上げる連中の層が厚くないといけない。そういう厚い層が生まれる経緯を見ると、彼らが子供の頃に流行した英雄譚に理由があることが少なくない。

ロケットなんかはゴダードあたりからの技術的な検討が続いていたけれども、それより効果的だったのは、映画館の上映スケジュールを埋めるのに簡単だったスペースオペラだったのだろう。そういう物語を見聞きして育った少年たちが戦争による航空技術の急激な進歩に育てられて、機が熟したのが1960年代だったのだろう。ロケットは月に達し、飛行機はマッハ4に迫った。

しかし、時代が移り変わり物語の流行も変わると、少年たちは別の分野に夢中になる。80年代にスペースシャトルは飛んだが、月は遠のいた。スペースシャトルにも次期モデルの開発はなく、その長い運用にも幕が下りた。技術は単調に進化するものではなくて、進化のある時期に爛熟する。その黄金期を後の世代が超えることは、なかなか難しい。

蒸気機関車による鉄道全盛の時代には、蒸気圧で精密な機械制御をする技術が発達したが、その大部分は失われた。蒸気エネルギー自体は火力や原子力による発電に活かされているし、ピストン駆動系は石油系内燃機関に活かされているが、蒸気機関車は消滅した。

今はロボットアニメを夢中になって見ていた少年たちが精密機械を作り、ゲームに夢中になっていた少年たちがソフトウェアを作っている。今はその技術が爛熟しているが、技術は失われないまでも、今より落ち着いた分野になっていくだろう。アニメ、ゲーム、半導体などは、そろそろ一息つく頃かもしれない。

「普通はそんなことしない」というのを普通の人は禁止したがるが、それをあえて野放しにしてみる度量と、泥棒ではないハッカーを実用分野で活かせる社会というのは、成熟した豊かな社会に思える。江戸時代あたりには、四十五十で隠居した旦那の道楽として学問があったらしく、そういう人たちが、体系的ではないながら結構本格的な学問をしていたものらしい。

知るとか考えるとか、まあ比較的役に立つものではあるけれども、それ自身が楽しいって奴は放っておいてやって欲しいと思う。手段として使うのも正しいのではあるけれども、とんでもない分野で「それ、調べたことある」とか「それ、考えたことある」というのは、意外なところで役に立つ。まあ、半分以上は役に立たないもので、また1割くらいは害悪でもあったりするのだけれど、そういうのを飼い慣らせる社会というものもなかなか立派なものだと思う。

ライフハックというのは本来、覚えて自分の生活を良くするための手段というよりは、人間心理や社会機構の意外な特質を突いて遊ぶあたりを指すんじゃないかと思うんだけれど、どうだろう。
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by antonin | 2013-12-14 05:11 | Trackback | Comments(0)
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