安敦誌


つまらない話など
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雑念メモ

たぶんまた薬の具合だと思うが、書きたいことがいろいろと溜まってきた。それぞれ全部吐き出してしまうとそれなりの分量になるが、時間がないので簡単にまとめておく。気が向いたらフルサイズの文章になることもあるかもしれないが、断片でも書き出してしまうと満足してしまうことのほうが多い。ヌーヴォーじゃないボジョレ・ヴィラージュを飲みながらなので、内容が雑なのはそのせいということで。

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薔薇について。

バラはよく愛の象徴などと言うが、自分でバラを育ててみて、ちょっと違った意味でその言葉を解釈するようになった。バラという花は、非常に手がかかる。水も光も肥料もたっぷり必要とするし、無駄に枝が伸びるので適当に剪定などもしてやらないといけない。私などが育てると枯れまくる。街角に花屋があって、いくらかの現金で切り花が買えるようになる以前の世界では、女性にバラの花束をプレゼントできる男性というのは、家に日当たりのよい庭があって、なおかつバラの手入れに手間をかけられる程度に余裕のある家に住んでいるということを暗に示していたのだろう。

こういう言い方を嫌う人は多いかもしれないが、昔のヨーロッパでは、女性の幸せというのは結婚する男性の家にどれほどの余裕があるかで決まる部分が大きかっただろう。男がバラの花束を持てるということは、庭師を雇うだけの裕福さがあるか、さもなければ家事をこなして花まで育てる余裕のある女たちが住んでいるか、さもなければ男が自らの手でバラを育てられる程度に仕事の要領が良いか、このいずれかを知らせる「メルクマール」になっていたのだろう。これを愛の象徴と呼ぶことは、ロマンティックではない即物的解釈だけれども、まあそんなあたりに起源があるんじゃないかと思った。

男の靴が磨かれているかどうかで品定めできる、というあたりもおそらく似た具合のことを指しているのだろう。

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嫉妬について。

過去にも書いたが、小さな劣等感は嫉妬になるが、ある限度を超えて大きくなった劣等感は、尊敬の感情を呼び起こすと思っている。劣等感がなければ親しみになるが、人は日々移ろうもので、親しいと思っていた相手がある日嫉妬の対象になったり、嫉妬の対象だったものがある日尊敬の対象になったりする。よく、有名になったら急にすり寄ってくる人が軽蔑される話を聞くが、そういう人があんまり算盤尽くとは限らなくて、おそらくはこうした心理が働いているんじゃないかと思う。同様に、優越感が小さいと軽侮の情になるが、ある限度を超えると慈愛に近い感情になる。歩けない赤ん坊を軽蔑する大人はあまりいないが、車の運転が下手という程度だと軽蔑の対象になりやすい。

自分の技量と同レベルを中心に置き、そこから縦軸を引いて上方向に劣等感、下方向に優越感を配置すると、中心点の周りに、小さな「親近感」の領域ができる。その外側に「嫉妬と軽蔑」のドーナツ領域があり、その外側には「尊敬と慈愛」の領域がある。同じ音楽の嗜好を持った仲間がバンドを組むと、最初はみんな親しみの領域にあるが、演奏を続けるにしたがって延びる技量と伸びない技量の差が出てくる。そうすると、バンドのメンバーに対して、演奏だとかライブトークだとか、あるいはメイクアップだとか、分野ごとに嫉妬や軽蔑を感じるようになってくる。こういう領域に達すると、「音楽性の違い」だのなんだのと言って解散してしまうのだろう。

本田宗一郎さんと藤沢武夫さんみたいに、最初から互いの得意と不得意を埋め合わせるような関係にある人たちは、それぞれの分野で慈愛と尊敬の念で接することができるので、途中から喧嘩別れすることが少ないのだろう。別分野で頂点を極めた人たちの仲が良いのも、だいたいこういう関係にあるからじゃないかと思う。「嫉妬と軽蔑」のドーナツの幅はその人の心の余裕に反比例するらしいのだが、面倒なのでこの話も終わり。

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天皇制の話。

悠仁親王ご誕生で、継承問題は菊のカーテンの奥へ遠ざかってしまったが、まだまだこの話は崖っぷちにある。というのも、根本的な問題は何一つ解決していないからだ。根本的な問題というのは、天皇ないし皇太子が、複数の妃を持つかどうかということ。

明治以降、皇室は変わり続けてきた。明治天皇は畿内の地を離れて関東の埋め立て地に宮城を移し、大和の御門から大日本の皇帝に立場を変えた。大正天皇は、側室制度を廃止し、キリスト教徒である西欧列強の支配者に野蛮人扱いされない婚姻を選んだ。昭和天皇は皇祖神の直系としての現人神であることを辞め、人間宣言をした。今上天皇は妃選びの血統主義を返上し、民主国家の主権者である平民の娘を妃に選んだ。

だいたいこういう流れがある。で、継承問題で一番重要なのが、大正天皇の選択になる。確率計算から導かれる年数よりはかなり急激に男子が減るという偶然はあったが、どちらにせよ一夫一婦制度と男系による継承の永続というのは数学的に両立できない。なので、今さら伝統を云々するならば、大正天皇の選択を反故にし側室制を復活させるか、あるいは男子を産めないと分かった時点で妃を離縁して若い妃を取り直すかのどちらかの方法で、終身一夫一婦制を廃止するしかない。

万世一系というのが真実だとすると、数学的に見れば数十世代にわたって側室を持ち続けるだけの財と権威が天皇家に続いたことの証明にしかならない。その万世一系にこだわるなら、現代日本の一般市民の常識だとか、キリスト教圏の王家の良識だとか、そのあたりはさておき伝統を重視して側室制度を復活させるべき、という結論になってしまう。いまどき側室に収まるような女性がいるのか、という話になってようやく旧宮家に白羽の矢が立つのだが、こういう逃げようのない論が出ることがなく継承問題が語られるので、気味悪く思っている。氏より育ちと言うし、個人的には、明治以降の変遷を受け入れ女系天皇容認で良いと思う。

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教養とは何か。

簡単に言うと、「話が通じる」ということだと思う。具体的に言うと、有名な物語を鑑賞した経験を指すのだと思う。泣いて馬謖を斬る、という感じで、有名な場面を指すことで細かいことを言わなくても話が通じるための知識を教養と呼ぶ、ただそれだけのことだと思う。今なら、「坊やだからさ」とか「人間がゴミのようだ」とか「僕と契約して~になってよ」とか、そういう物語の断片から言わんとする情景と顛末の暗示を理解できるようなことがそれにあたるのだろう。現代的には科学や工学や経済の理論だとか、あるいは数学の定理などの背景も知っていたほうがいいのかもしれないが、これはやや飾りの部類に入るかもしれない。

金持ってそうな人と愉快な会話を楽しめるだけの知識。限りなく下品に言えばそういうことになる。

終わり。

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細かい連想、妄想の類はもっといっぱいあるのだけれど、今日はこのあたりで気が済んだ。

図書館に山本夏彦さんのコラムをまとめた本を探しに行ったら、山本七平さんとの対談集(「正論」の昭和58年あたりの連載記事)が再出版されたものがあり、面白いので借りてみた。今から30年くらい前の話で、明治初期とか幕末がぎりぎり肌感覚として理解できる時代として語られていた。昭和末期ってそんな感じだったのか。なんにせよ語り口が面白い。狩られる前の言葉などもふんだんに出てくる。まあ、立小便が男らしいと思われていた時代の話でもあり、現代の品の良さとトレードオフの関係にある愉快さでもあるので、あんまり手放しに称揚したくはないが、ここだけ切り出せば昭和というのは楽しい時代だったのだなあと思った。

デカルトさんが、古典を読むことで過去に旅できるが、あんまり過去に入り浸ると現代で異邦人になってしまうというようなことを書いていた。杉浦日向子さんの作品なども読んでいるが、あちらに魅せられて、確かに異邦人だったなと思う。ついには魂抜かれちまったんじゃないかという最期でもあったし。それはそれで幸せな生き方にも見えるが。

意地悪は死なず 夏彦・七平対談―山本夏彦とその時代〈2〉 (山本夏彦とその時代 2)

山本 夏彦,山本 七平/ワック

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合葬 (ちくま文庫)

杉浦 日向子/筑摩書房

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by antonin | 2014-07-08 23:33 | Trackback | Comments(0)
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