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ディジタルとアナログってなんだろう(4)

アナログ信号を飛び飛びの標本値に変換しても元の連続値が完全に復元できる根拠が標本化定理という数学的な定理にあるという説明を前回しました。この定理は1920年代にAT&T(アメリカ電話電信会社)のベル研究所に在籍していた研究者ハリー・ナイキストにより提案され、1949年に同研究所のクロード・シャノンにより証明されました。

標本化定理と並んで、現在のディジタル機器を支えている理論が、標本化定理の証明と同時期にシャノンが発表した二つの数学的な定理です。ひとつは「情報源符号化定理」あるいは「シャノンの第一基本定理」と呼ばれるもので、もうひとつは「通信路符号化定理」あるいは「シャノンの第二基本定理」と呼ばれるものです。

参考:「情報通信メモ」より「平均情報量 エントロピー

参考:"Bell Labs"より"A Mathematical Theory of Communication"(英文・PDF)
(クロード・シャノンが1948年に発表した論文。「通信の数学的理論」)

情報源符号化定理のほうは、ある情報源が持つ情報量を「ビット(bit)」という単位で定義し、この別名「情報源エントロピー」という情報量の大きさまで通信符号の大きさ(単位はビット)を小さくできる可能性があるという定理です。

一方の通信路符号化定理は、通信路の容量(単位はビット/毎秒)を周波数帯域(Band Width)と信号対雑音比(Singal/Noise Ratio)から定義し、この通信路容量までは、誤りなく通信をおこなう方法が存在する可能性があるという定理です。

どちらも、取り扱う信号に有限の情報量を、言い換えると有限個の記号を使うことを前提としています。つまり、解釈上は無限の可能性を扱っているアナログ方式では、この二つの定理の強力なメリットを享受できません。一方で、有限の数値(または記号)を扱うディジタル方式ではこのメリットを享受できます。これが、現在ディジタル信号処理が非常に活躍している背景になっていると考えられます。

このディジタル信号処理のメリットのうち、「誤差訂正可能性」、つまり誤りなく通信をおこなう方法の具体的な例をいくつか見てみます。

まずは、閾値(「いきち」または「しきいち」,"Threshold")を使ったノイズの除去です。音楽CD(CD-DA)の符号化方式では音声信号を65536段階に量子化しますが、これを2進数に変換すると16桁になります。つまり、0と1の2段階しかとらない信号(ビット)が16個集まった信号に変換できます。現在ほとんどのディジタル回路はこのような2値信号を使用しています。この2値信号を回路電圧で表すとすると、0と1を表す2種類の電圧の区別さえ付けばよいことになります。実際の回路上の電圧は外部からの電磁場などによって信号波形が乱れます。このとき2種類の電圧さえ区別が付けばよいことを利用して、0と1を現す電圧の中間に、0と1を分ける境界線を引きます。これを閾値と呼びます。

具体的には、0が0V(ボルト)、1が1Vとすると、その中間の0.5Vを閾値にすることができます。信号が崩れると、0Vまたは1Vの信号に誤差が加わります。誤差が乗った信号の受信側では、信号が0か1かを読み取るタイミングで回路電圧が0.5V以上であれば1と解釈し、0.5V未満であれば0とすることで、多少信号が崩れていてもビットで表された情報は復元できます。この情報の復元は、信号を2個の記号と割り切って解釈することで初めてできることです。

上の例では、誤差が0.5V以上加わった場合は回路電圧が閾値を超えてしまい、間違ったビットが復元されてしまいます。最初の「誤差訂正可能性」の説明でも例を出しましたが、記号的解釈をするディジタル信号では、閾値を使って数値に変換した後でも誤差を修復する方法が知られています。実際には、先に例に挙げたような多数決式の誤差訂正はほとんど用いられず、パリティ・ビットや畳み込み符号といった手法を応用した符号化技術が一般的です。しかし基本的には、どれも元の情報を伝えるのに最低限必要な記号より多くの記号を用意して情報を伝える、「冗長符号」と呼ばれるものの一種です。

参考:「実体験から始める情報講座」より「誤り制御(パリティチェック)

こうした誤差訂正可能性は、現在わかっている理論の範囲ではディジタル信号に特有の性質だと考えられます。音や光などの原情報をいったん電気的なアナログ信号に変換したあとに、わざわざ量子化誤差を発生させてまでディジタル化する理由のひとつは、この性質にあります。

現在、映画などで多量のディジタル処理が行われていて、これをはじめに定義した5つの分類に当てはめれば、ディジタルの「計算可能性」が利用されていることになります。しかし、アナログで同等の変換を行うと、数回の変換でみるみる原情報が劣化してしまいます。これには原理的な要因だけではなく現在の技術的な制約も含まれますが、最小限の情報劣化で信号処理を繰り返すことができる背景には、やはりこの誤差訂正可能性が含まれているように思います。


まだ迷いは残りますが、ふたつの符号化定理の強力な背景を利用できるか否かという点がディジタルとアナログを峻別する本質であると、ひとまず結論付けることにして、この項を終わります。

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ディジタルとアナログってなんだろう(1)
ディジタルとアナログってなんだろう(2)
ディジタルとアナログってなんだろう(3)
ディジタルとアナログってなんだろう(4)
エピローグ
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by antonin | 2005-07-20 00:01 | Trackback | Comments(0)
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