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9/1の記事に対してトラックバックを頂いた先の記事が興味深かったので、ひとつ新しい記事を書いてみます。 「Hotta World:: 「活・喝・勝」:静かに進む開国」 少子化問題というのは、大雑把に言って、以下のような展開を予想しています。 ・出生数が減少する ↓ ・将来の生産年齢人口(15~64歳の人口)が減少する ↓ ・労働力が不足する ・産業の国際競争力が低下する ・税収、社会保障費収入が減少する ↓ ・国民生活の質が低下する(貧しくなる) この負の連鎖に対する対策は、当然、出生率を上げるような施策ということになります。この施策についてはまたいずれ書こうと思いますが、トラックバック先の記事では、別の対策として、いわゆる「先進国」並みに外国人を労働力として受け入れてはどうか、という提案がなされています。(誤読でしたらご指摘下さい。) 外国人労働力の受け入れは、上記連鎖の中の「労働力が不足する」という問題を解消します。しかし、人道的、あるいは倫理的な思想をひとまず置いて、経済的な効果で判断すると、労働力の補充という面以外の問題に対しては十分な解決にならないと予想します。その一方で、大量の外国人の移住に伴ってさまざまな問題の発生が予想されます。 まず、労働力の質の問題があります。日本の産業の大部分が肉体労働から高度な製造・サービス産業へとシフトしてしまった現状では、労働者の教育水準の高さが求められます。 日本人であれば、大多数が義務教育を修了してから社会に出て労働力となります。日本人は英語が下手、などと言われますが、一方で母国語の識字率や基礎的な計算能力の習得率は非常に高いレベルとなっています。大学などの高等教育機関への進学率も高くなっています。 外国からの移民は、里子としてやってくるのではなく、すでに母国で労働年齢に達した人がほとんどでしょうから、日本と同一の教育水準は保証できず、日本語の習得にも時間が掛かるでしょう。 日本人の多くが日本語以外での意思疎通に慣れていない現状もあり、当面、外国人労働者に日本語の教育を受けてもらうか、日本人が英語をはじめとする外国語の再教育を受ける必要があるでしょう。移民が少数のうちは多数の日本人の中に投げ込まれる少数の外国人が自発的に日本語を習得するでしょうが、先に日本に移住した外国人が独自のコミュニティーを形成するようになると、あとからやってきた移民は必ずしも日本語を習得する動機はなくなります。 日本に移住する外国人による労働力の質を高めるには、外国で高度な教育を受けた人が留学などの目的で日本にやってきて、そして労働力として定着する件数を増やす方法もあります。そのためには、大学などで留学生枠を広げたり、英語による授業の拡充や、優秀な学生に対して日本の高い物価に対応できるような奨学金制度の整備なども必要になります。不足した看護士を外国人労働力で補おうと思えば、看護学校などでも外国人を受け入れる体制を整える必要があります。 上記のような、労働力の質の確保に関する施策を打たなければ、「外国人労働者=低賃金の肉体労働者」という構図が固定化し、新しい被差別層の発生、および特定の労働階級での(高賃金の)日本人労働者の労働市場からの締め出しなどが生じます。トルコ系をはじめとした移民を多く受け入れているドイツではすでにこうした現象が現れ、移民排斥を訴える極右勢力拡大の一因になっているとも言われます。 外国人が大量に移住した場合、彼らを外国人として扱い続けるのか、あるいは新しい日本人とみなすのか、あるいは国籍は彼らの希望に合わせたまま(外国籍の労働者と帰化移民が混在したまま)にするのか、日本で生まれた2世以降の市民をどう扱うのかなど、彼らに公正な権利と義務を与えるための基準作りは非常に難しいものになるでしょう。 (必ずしも平等とは限らないが)公正な権利と義務が示されない限り、先住の日本人、帰化人、外国籍移民の間で必ず感情的な衝突が発生するでしょう。韓国・朝鮮国籍の在日市民との問題を考えれば、その解決が簡単ではないことは予測できます。 少子化問題の連鎖の最後に書いた「国民生活の質が低下する(貧しくなる)」という問題が解決されたとき、「旧日本国民は豊かで、外国からの移民は貧しい労働者」という状況であったり、「成功した移民が豊かになり、その下で旧日本国民が労働する」などという状況では社会の安定にはそれなりの努力が必要となるでしょう。豊かな移民の下で旧日本国民が働くという場面は想像しにくいかもしれませんが、日本全土ではなく、ある地域やある企業に限れば(公正な機会が与えられていれば)十分ありえる状況です。 アメリカ合衆国などは、そもそも先住民族から土地を奪って成立した移民主体の国であり、国土も広いこともあって、移民の受け入れは比較的自然な行為でしょう。しかし、過去に異民族受け入れの経験が少なく、受け入れても狭い国土で軒を連ねて生活しなくてはいけない日本では、ヨーロッパで既に生じている現象を精査した上で制度を練らなければ、少子化による労働力減少を補うほど急激な外国人の受け入れは、先住の日本人にとっても、やって来る外国人にとっても不幸な結果となるでしょう。 ただし、少しずつ外国人の流入が増えているのが事実であれば、制度を作らないまま、なし崩し的に流入を黙認し、問題が顕在化してから対策を打つというのでは最悪ですので、ひとつの政策として外国人労働力の受け入れを掲げ、そのための諸策を講じるのは良いことだと思います。 ---------- 最近になって「愛国心教育」という言葉もちらほらと耳にします。国の外で「私は日本人です」と言ったとき、「ああ、あなたは日本人か」と尊敬の目で見られるような国になることを目指すのが愛国心であると、私は考えます。そんな国を作るにはどうしたら良いか。そういうようなことを考える教育であれば、ぜひ導入していただきたいと思います。少子化対策にも、外国人の受け入れにも、きっといい方法を見つけられるでしょう。
by antonin
| 2005-09-05 23:52
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