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この記事は「コンピューターの曲がり角に想う(1)」の続きです。 さて、マルチコアというと連想するのがPLAYSTATION3のプロセッサである、通称"Cell"だが、あれは、果たしてどうなんでしょう。SCEIの久夛良木さんは、PLAYSTATIOM3は「ゲーム機」ではなくて「エンターテイメントコンピューター」であると言っている。 たしかPlayStation2のときも似たようなことを言っていた記憶があるけれども、PS2に搭載された"Emotion Engine"というプロセッサは、PSXなど一部のソニー製品に搭載されたものの期待された売り上げを得られず、事実上ゲーム専用プロセッサとしてその役割を終えようとしている。 Cellは確かに非常に強力なプロセッサであり、潜在能力としては申し分ないのだが、PS3がゲーム機の枠を越えたコンピュータになり、Cellがゲーム機のプロセッサを超えてネットワークのいたるところに遍在するという久夛良木さんの野望はというと、ちょっと実現が危ないと思う。ただし、ソニーグループはこのCellとPS3に5千億円ともいわれる大投資をしているので、失敗は許されないのだが、大丈夫だろうか。 PS3の発売が遅れに遅れている上に、ゲーム機として4万円前後の値段が予想されていた中、廉価グレードでさえ税込み62,790円という価格発表で記者会見場が凍りついた挙句、発売前に値下げ断行という前代未聞の事態になった。 SCEIは(というより久夛良木さんが)IBMと東芝のエンジニアを集めて独自のアーキテクチャを持つ非対称マルチコアのプロセッサを作ったが、そこにつぎ込んだ投資額の前提は全て、「1000万台は楽に超える」というPS2の量産原理に基づいている。たとえ野望は「エンターテイメントコンピューター」であっても、初期の市場立ち上げはゲーム機プラスアルファで進めるべきだろう。 PS2の時は、当時普及していたPS1のソフトが使えて、次世代のPS2のソフトも遊べて、なおかつ当時はまだ高かったDVDプレーヤーがおまけで付いてきて、なおかつ手ごろな値段ということがあって、PS2専用ソフトが充実する前からそれなりにPS2本体は普及していた。ところがPS3の場合、PS2のソフトはエミュレーションで遊べるが、PS3専用ソフトが出揃うまでの間をつなぐ「おまけ」が、得体の知れない「ブルーレイディスク」プレーヤーになった。 こいつはPS2のときのDVDプレーヤー機能が果たした役割を当然期待されているのと同時に、結局統一規格をまとめられなかった、もう一方の次世代DVDである"HD DVD"をやり込めるための飛び道具という役割も持っているため、ソニーグループとしては絶対に外せない機能なのだろう。(結局こいつがPS3に2度目の発売延期を余儀なくさせた原因になっているらしいのだが、それはまた別の話) また、「PS3不発説」でよく語られる理由のひとつに、PS3の性能(と価格)に見合った豪華絢爛さが当然のように要求されるPS3専用ゲームの開発コストが危険なほど高騰するだろう、という話があげられる。その影で密かに語られるもうひとつの理由として、Cellの「斬新さ」がある。 PS2のアーキテクチャにしても、それまでのゲーム機ともPCとも違う特殊なものだったので、初期にはゲームプログラマを随分と悩ましたらしいが、PS3の、特にCellの構造は、従来のプロセッサと根本的に違う独自のものだ。IBMのPower Processor互換命令を実行するPPEはともかく、小さなローカルメモリを抱えてリングバスにつながれたSPEという名の「7人の小人さんたち」の扱いには、PS2で鍛えられた精鋭プログラマでも相当苦労するらしい。という以前に、ゲームメーカー向けに開発環境そのものを開発するSCEIの開発部隊が、一番苦戦しているらしい。 こうした状況下で、果たしてPS3とCellは世界中の家庭に普及するのか。ゲーム機の枠を越えて、パソコンの次に君臨するべき「エンターテイメントコンピューター」の座を射止めることができるのか。もしそれが実現したら、それはそれで楽しい世の中なのだが、せっかくの混乱期なので、もうちょっと別の可能性も想像してみたくなった。 以下、次項。 -- 安敦誌 : コンピューターの曲がり角に想う(1) 安敦誌 : コンピューターの曲がり角に想う(2) 安敦誌 : コンピューターの曲がり角に想う(3)
by antonin
| 2006-09-29 00:29
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