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安敦誌


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生命に関する試論 (2)

つまらない話が継続中です。
勇気無き者は去れ(笑)



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さて、素粒子物理学の階層、化学の階層、有機物の階層と上がってきましたが、この上に載るのが地球型生命の階層ということになるでしょう。基本は、DNAとRNAと酵素による自己複製子の作り出す法則、つまりフォン・ノイマンによる生命の定義から生まれる法則に従う世界です。

創造主たる神が存在しなければ人間が存在するはずがないというのが一神教の基本的考えですが、私はそうは考えません。世界そのものの創造は別として、人間のような小さなものまで直接創造する必要はないと考えています。地球のように、炭素のように分子量や組成について自由度の高い分子を作ることができる元素と、その他多様な元素が素材として豊富に存在し、なおかつ太陽からの距離が適切な範囲にあった地球では、比較的多量の炭素化合物が化学的に合成され、その一部はアミノ酸のような形になりうることが実験的に示されています。それらをある程度濃縮したり拡散したりする媒体としての海の作用も必須だったかもしれません。

そこから私たちの細胞のような優れた自己複製子が現れる確率は非常に低いでしょう。しかし、素材となる分子の数が膨大ですから、微小な確率と莫大な分子衝突回数を掛け合わせた、やや小さい数字が、最初の自己複製子を産み出す確率ということになります。

サルがタイプライターを打ってシェークスピアの作品を書き出す可能性はゼロと言えるでしょう。ところが、サルとタイプライターの組み合わせが地球を構成する原子の個数と同じぐらい用意できれば、1ページの美しい詩を偶然に書き上げてしまうサルが1匹は現れるかもしれません。

サルが偶然書き上げた作品は、そのあとに何も引き起こしません。次に同じような傑作を見るまでには、また無数のつまらないページを吐き出す必要があります。しかし、太古の海が自己複製子を偶然生み出した場合は事情が違います。1個であれば、自己複製が起こる前に分解して消えてしまうこともあるかもしれませんが、数個発生すれば、そのうちのひとつくらいは自己複製のプロセスを開始するかもしれません。

自己複製のプロセスが起こり、ある程度の数まで自己複製子が増えると、自己複製子が自己増殖により増える確率が、自己複製子が分解して消える確率を上回り、連鎖反応が臨界点を超えます。一度臨界を越えると、何らかの外乱によって臨界点以下まで自己複製子が減らされない限り、周りの有機物を食い尽くすまで増殖は進みます。これが神による創造を必要としない生命誕生のプロセスです。

このあとは、自己複製子をやさしく包む核膜の誕生であるとか、自己複製に使用する酵素群の流出を防ぎ、太古の海に漂うそろそろ減り始めた有機物を効率よく捕集するための細胞膜であるとか、他の細胞体を栄養として取り込む方法とか、増殖だけではなくときどき再結合して繁殖力を回復するとか、鞭毛を装備して海中を泳げるようになるとか、太陽光線が海に届くようになると葉緑体で光合成を始めるとか、葉緑体が排出した酸素を利用するミトコンドリアが現れるとか、それらと共生する真核細胞とか、分裂後も協調して活動する多細胞生物とか、多細胞体の通常細胞とは異なる繁殖のための細胞である胞子とか、積極的に遺伝子の交換をするための減数分裂した配偶子とか、繁殖活動する個体としない個体を区別した有性生殖とか、そうしたいくつもの画期的な「発明」が確率的に誤りを含む自己複製から生じ、今日に至ったのでしょう。

そして人間の誕生に飛びます。魚類以降、それまで多細胞生物の簡単な通信制御機構だった神経細胞が、感覚器や筋肉から離れたところで神経節という神経の塊を作るようになりました。ここでは入力と出力を直結するのではなく、シナプス間結合強度による記憶とフィードバックループを使った、高度な制御を実現できるようになりました。人間の脳もその延長上にあります。詳細はあとに譲りますが、人間の意識や思考、ちょっと微妙な表現を使うと、「魂」の座は脳を始めとする神経系ということになります。言い換えると、「魂」は神経という地球型生命の階層と限定的につながる上位階層であると言えます。

生命とは何か、というところを少し離れて、意識と思考とは何かに踏み込んで考えてみます。人間の思考は、言葉や記号を使った論理的な思考、いわゆる「考える」過程と、反射的にいやおうなく結論してしまう、いわゆる「感じる」過程があります。それぞれの神経網における動作のイメージは持っているのですが、簡潔に表現することができないため、ここでは省略します。「考える」過程のイメージだけ比喩的に記すと、「脳の中に記号を作り、その記号から次の記号を作り、そしてそれを繰り返す過程」が論理的思考であると思っています。

「感じる」過程を表現することは難しいのに対し、「考える」過程は文字や記号を使って、かなり正確に表現することができます。脳の中の記号と紙の上の記号を対応させているのだと思います。この過程のうち、記号論理学としてまとめられた推論規則や、数値解法による算術体系、そして数理的な分類学などの成果を、二進数とブール代数を応用して数値計算と論理判断に応用し、飽和動作する増幅回路でそれを実現したのが現在のコンピューターです。

したがって現在のコンピューターは、人間の大脳新皮質の特に前頭前野を中心に行われている「考える」神経活動を脳の外部に写像したものといえます。コンピュータープログラムの自己複製は容易ですが、自己組織化はできていないため、人工知能の開発にはまだ成功していません。

コンピューターが、SF映画などで見られるような人間性を持つためには、表面的な要素だけではなく、自分の考え方を持つこと、つまりプログラムを段階的に自己修正できる能力をもつ必要があるでしょう。さらに、コンピューターに感情を実装しようとすれば、人間の感情の発現機構を分析し、模倣する必要があるでしょう。おそらく感情とは、神経細胞間の電気化学的な伝達・計算機構に対して、脳内で分泌される化学物質の放出などで、神経網の結合パラメーターを動的に変化させる過程ではないかと想像します。

まず、現在のコンピューターが利用している、記号論理学的に「考える」モデルからいったん脱し、「感じる」プロセスをモデル化する必要があるでしょう。これには現在のコンピューターデバイスとは根本的に異なる、3次元配置と密な結線を有したデバイスアーキテクチャーが要求されるでしょう。一般に脳におけるシナプスの数は神経細胞の個数の2乗のオーダーになります。

そこに、脳内分泌物質が大脳辺縁系を通じて大脳新皮質で起こっている情報処理に影響する仕組みがモデル化され、適切なパラメーターが抽出できれば、感情を模倣することも可能かもしれません。エタノールやニコチン、カフェインやモルヒネなどは、脳内物質に類似な構造を持っているか、その代謝過程に影響を与えているのでしょう。エタノールの神経作用機構をモデル化できれば、感情と理性を模倣した人工知能を「酔わせる」ことも可能かもしれません。

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次項に続きます。


安敦誌 : 生命に関する試論 (1)
安敦誌 : 生命に関する試論 (2)
安敦誌 : 生命に関する試論 (3)
安敦誌 : 生命に関する余談
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by antonin | 2006-11-18 13:48 | Trackback | Comments(0)
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