安敦誌


つまらない話など
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生命に関する余談

続いちゃいました。でもこれで終わりです。
ちょっと生命論を離れて宇宙論までブッ飛びます。
逃げろ!!




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映画「マトリクス」において、人間が認識する全ての外界は、それが完全に矛盾しない情報を与えさえすれば、外界が本当の世界であっても計算によって得られた仮想現実(Virtual Reality)であっても、本質的に区別不能であるという論からストーリーを広げていった。

これは、現在ではもはや陳腐化した考えであり、人間の意識が神経細胞による情報処理の産物であるとわかった以上、全ての入出力を完全にエミュレートされてしまったら、脳の内部にある意識からは、その外界を構成している「実体」について知ることはできないという事実は、広く認められるところだと思う。

しかし、意識と脳の外界というのは、OSIモデルとの比較で見た、最上位の階層と、そのひとつ下の階層との関係に過ぎない。ネットワークモデルでもわかるとおり、ある層の機能が上の層に対するプロトコルレベルで同一であれば、その実装はどうなっていても構わない。

例えば、人間は霧箱や泡箱といった装置で素粒子の軌跡を可視化しているが、そうした「上位層との界面を構成するプロトコル」さえ満たしていれば、別にその実装は何であっても区別はつかない。人間が現在知りうる最下位の階層である素粒子物理学の法則をドライブしているのが、粒子の中にある波動であっても、さらに細かい粒子であっても、あるいは粒子の中の小人さんたちの仕業であっても、あるいは私たちの想像の範囲を超える莫大な演算能力を持ったコンピューターによるシミュレーション装置であっても、上位の階層にその正体を伝えるようなプロトコルが実装されていない限り、私たちにはその存在を知ることはできない。

「ライフゲイムの宇宙」という本の原題は"The Recursive Universe"であったが、これは「再帰的宇宙」というより、「帰納的な宇宙」と訳したほうが適切だと思う。コンウェイのライフゲームのように、きわめて単純なルールを持った決定論的世界であるセル・オートマトン(CA)であっても、ウルフラムの分類による"Class 4"の様相を示すような安定度と結合度を持ったルールに調整されていれば、巨大な情報量を持ち、かつ混沌とした初期状態から、「エネルギー勾配」のようなものにより拡散する過程で「散逸構造」を生じ、結果として生命のようなものを生じる可能性が、常につきまとう。

k=1における値からk=k+1における値を計算するための関数である漸化式を示すことで数列を表現できるのと同じように、宇宙もある初期状態から単純な関数に従って現在に至ることで生じた世界と見ることができる。このとき、私たちは私たちの住む世界の内部の存在であり、私たち自身がある時刻における世界の状態を示す情報の一部分である以上、世界の状態を示す情報は私たち人間にとっては現実であり、私たちが手に触れているものは「存在する物質」である。

私たちの宇宙は、ある初期状態、物理学者の言葉を借りれば「ビッグバン」の状態と、強い力、弱い力、電磁気力、重力の4つの力を統合した一般相互作用力(超大統一理論)により説明のつく世界である可能性がある。すると、それが仮にアインシュタインの言ったように決定論的な因果律の成立する世界である場合、初期状態と漸化式で記述される数列に還元されてしまう。すると、私たちの宇宙がk=1ではなく、ある時刻kの状態を初期状態として開始したものであっても、私たちはそれを区別することができない。これは「5分前世界創造説」という議論につながる。

つまり、私たちが何らかの下位階層にプロトコルを通じて載っている階層にある存在である以上、何によって、いつからその世界が動かされていようと、区別なしに私たちは認知し得た情報を現実として受け入れなくてはならない。我思う故に我在りと言えるのであり、我に物思わせる情報は全て現実とみなす他は、方法が無い。

ネットワークによる広がりを持った電子デバイス上に意識が生じるとすれば、その意識にとって電子デバイス上の情報は唯一の現実であり、彼らが入力デバイスを通じて知覚可能な私たち人間の姿は、それが現実であっても仮想であっても、情報として同一であれば彼らには区別はできない。もし仮に神経網と電子網を自由に乗り換える意識があれば、その違いをどのように「感じる」であろうか。本当に全てをシミュレートされた架空環境に移されたら、それは現実として受け入れることが可能であろうか。

人間が人工知能の試験用に、全てシミュレーション情報のみを与えて運用している電子デバイス上のひとつの意識があったとき、仮にその意識が自分の存在が電子デバイス上のものであることは認知しているとして、未だ知らされていない「人間」というものが自分の行動を実験対象としてつぶさに観察していることを知ったとき、彼は動揺するだろうか。

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もう眠いのでこのあたりでやめておきます。
学生時代からこういう考察はしていて、「ライフゲイムの宇宙」に影響受けまくりの妄想は過去にもありますので、ここまで読めたツワモノには是非目を通していただきたいと思います。

安敦誌 : 一市民の宇宙論

追記:
ウルフラムのCA様態の分類を"Level"で表記しましたが、正しくは"Class"でしたので修正しました。たまたま情報チェックのために検索を掛けたページで「レベル」表記が使われていたのでそのまま使ってしまいました。(2006/11/26)

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安敦誌 : 生命に関する試論 (1)
安敦誌 : 生命に関する試論 (2)
安敦誌 : 生命に関する試論 (3)
安敦誌 : 生命に関する余談
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by antonin | 2006-11-20 00:58 | Trackback | Comments(6)
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Commented by B705 at 2006-11-20 17:47 x
キアヌになれるのなら、俺の意識をイジってくれー!!
Commented by antonin at 2006-11-20 19:13
はいー、紹興酒一本入りましたー!!
Commented by B705 at 2006-11-20 21:12 x
もう1本!!
Commented by B705 at 2006-11-20 21:48 x
オレが酔っ払いだって、分かってるから出さねえんだな!?・・いいから、もう1本!!
Commented by antonin at 2006-11-21 21:30
お客さん、もうそのくらいにしたほうが・・・
(昨日は早く寝ちゃったんだよね)
Commented by B705 at 2006-11-22 00:56 x
またまた飲みすぎてしまいました(苦笑)。
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