安敦誌


つまらない話など
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ソルヴェイグの子守唄

初めて金を払って買った音楽は、CDに収まったペール・ギュントだった。

高校3年にもなってからだったかと思う。ヴァーツラフ・ノイマン指揮のチェコ・フィルという馴染みの演奏だったので、当時のスプラフォンのディジタル録音がどういうものかを知らずに、少ない小遣いの中から安い盤を購入した。

ペール・ギュントというと「朝」が音楽の教科書に取り上げられていたりして、知っている人は多いだろうと思う。チャイコフスキーの「くるみ割り人形」などと同じく、作曲家自身によって計8曲の演奏会用組曲に編成されているので、演奏機会は特に国内では案外多いのではないかと思う。もともとはオペラでも交響詩でもなく、劇音楽という、今で言うところの映画のBGMのような目的で書かれた作品だったのだという。

ただ、演じていたのは普通の俳優だったにしても、出演者が歌を歌うシーンもあり、そうした場合は舞台の袖で歌手が歌うのに合わせて俳優が口パクしていたらしい。そういうシーンのために書かれたのが組曲にも入っている「ソルヴェイグの歌」だという。

初めて買った安い盤には、組曲からもれた曲も2曲ほど入っており、そのうちのひとつが掲題の「ソルヴェイグの子守唄」という作品だった。これはライナーによると、最後のクライマックス場面で息を引き取る主人公ペール・ギュントをひざの上に横たえて、老いたソルヴェイグが歌う臨終の子守唄なのだという。

これだけ聞くと美しい話のように聞こえるが、ソルヴェイグという恋人がいながら、幼なじみのイングリッドの結婚式で、こともあろうか新婦のイングリッドを略奪して逃げ、そのイングリッドも捨てて諸国放浪の果てに帰国したペールが、待ち続けたソルヴェイグの許に帰って都合よく甘えながら果てるというシーンらしいのである。その放浪の途中に懇ろになったのが「山の魔王の宮殿にて」に出てくる魔王の娘だとか、「アラビアの踊り」で群舞する女たちの部族の首領の娘である「アニトラの踊り」のアニトラだったりするらしいからタチが悪い。

このストーリーは、原作者のイプセンが母国の国民性を痛烈に風刺している作品であるというのがライナーの説明で、当時、エドヴァルド・グリーグの音楽の方は好評であったが、戯曲のほうは敬遠されがちだったというのが、組曲として音楽を切り離した理由だとしていた。

結局私はそのCDのライナーに書かれた内容以上に「ペール・ギュント」のストーリーを知らないのだけれども、その中でも組曲の選に漏れたこの子守唄が、今まで聞いた歌曲の中で一番気に入っている曲となった。他の演奏を聴いたことがないので演奏の質を論じることはできないのだけれども、歌が始まる前、前奏の部分のストリングスがこの世のものとは思われないほど甘美に響いて耳に残った。


このソルヴェイグほどではないにしても、日本の女性はお隣り韓国の女性と並んで、世界でもかなり不遇に甘んじている方に入るのではないか。男は偉そうにしているが、いざとなると守ってはくれない。その点、兵役のある韓国男はまだマシかもしれない。こんなことは男である私の言うセリフではないのかもしれないけれども、日本には自分でそれと気づかないソルヴェイグが大勢いるのではないか。

といってわが身を振り返ると、ここでは「ヨメ」などと称している女性の好意に甘えて、好きなことばかりをやってペール並みの放蕩を重ねているのではないのか。もちろんペールのように浮名を馳せるようなことはなかったが、好きなことをするために安定した職を放り出すのも、現在進行形の放蕩ではあるのかもしれない。

ギリシャ・ローマの哲学と、終末思想だったキリスト教の理念を統合したアウグスティヌスに関する本をボチボチと読んでいるのだけれども、この人も若い頃にはいろいろと放埓に振舞ったらしい。そもそもキリスト教ではなく、マニ教を奉じていた時代もあったといい、そのあたりの反省から反マニ教の論駁をしてみたり、神とイエスと精霊の三位一体を説いたりしたのだというから、このあたりは貴族の王子として一通りの贅沢を経験してから荒行だのに走ったガウタマ・シッダールタあたりを連想させる。

何を言いたいのかというと、遊び倒して、その果てに帰る所があると、人は勢い説教臭くなるのではないかと思った。だいたい立派なことを言って悦に入っている人は、脛に傷のひとつやふたつは持っているものなのだろうと思う。自分のことを棚に上げられるようになったり、一通り経験して欲望に渋みがかかると、それを悟りと言うのかもしれない。「告白」から始めるアウグスティヌスあたりはまだ良心的なのかもしれないが、告白できるというのはそれだけ開き直っているとも言える。


将来コドモに説教垂れるためには、もう少し遊び込まないといけないのかもしれない。とは言っても、当面は仕事が遊びみたいなもんですが。給料もらってるのがサギみたいです。今までは「カイゼン」「5S」「見える化」などの指導書を読んでも鼻白んでいたのだけれど、今度は「プログラマのバイブル」のような本に書かれた説教がスッと腑に落ちる。これはなかなか新鮮な気分であります。おそらく、書かれている内容ではなく、受け手の心境の変化が主な理由なのだろうと思います。

まぁ、ペール・ギュントのように派手にはやれないのだけれど、もう少し掌の上で遊ばせてください。彼よりは大事に扱いますから。
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by antonin | 2007-07-26 23:47 | Trackback | Comments(2)
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Commented by NAF(なふ) at 2007-07-30 01:19 x
これ読んで、ずいぶん考えさせられました。
面白いと思う一方、(女として)『こんちくしょう!』と思うような@笑

ところでふと思ったのですが、『帰る場所』を『女性』となる場合、
その女性が『アタイは好きにやりたいのよ!』と言い出した場合、
ペール・ギュント的男性はどう感じるものなのでしょうか?
もちろん想定で結構ですので、参考までにお聞かせ下さいな@笑


<オマケ>
>「ヨメ」などと称している女性の好意に甘えて
>好きなことばかりをやってペール並みの放蕩を重ねているのではないのか。

>男は偉そうにしているが、いざとなると守ってはくれない。

↑なんだか急に、むこ(=どらげんし)いびりをしたくなりました。

>最後のクライマックス場面で
>息を引き取る主人公ペール・ギュントをひざの上に横たえて

↑私だったら鬼ヨメの最後の使命として引導を渡しちゃいそうな気がします@笑
Commented by antonin at 2007-07-30 23:01
毎度コメントありがとうございます。

なんというか、女にも「こんちくしょう!」と思わせる場面はあるもので、なんだかんだいいながらも相補的なのが男女の仲かと。

で、ご質問の件ですが、
「『帰る場所』を『女性』となる場合、その女性が『アタイは好きにやりたいのよ!』と言い出した場合、ペール・ギュント的男性はどう感じるものなのでしょうか?」

に対して、「どのように感じるか」で言えば、人それぞれじゃないでしょうか。ただ、本当に帰る場所がなくなってしまった場合、どのように行動するかといえば、糸の切れた凧のようになって舞い上がって、結果、変なところに着地して落ち着いてしまうんじゃないでしょうか。

「引導を渡す」というのは、三途の彼岸に渡る使者を引いて導くための施しであり、転じて止めを刺すような意味になったような気がします。そう考えるとソルヴェイグもじゅうぶん引導を渡しているような気がします。仏教徒じゃないでしょうけどね。

ところで、いびられ役のムコどのはお元気でしょうか?
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