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家庭のインターネット環境も、たかだか100Mbpsとはいえ、どんどん光ファイバー化が進んでいるし、これからはもっと短距離でも光通信が普及する分野は増えていくと期待したい。具体的には、PCのマザーボードのようなFR-4のPCBに光配線層を設けたら面白いように思う。 従来はシングルモードの石英ガラス光ファイバーで数キロという長距離伝送に光通信が使われていた。短距離通信もマルチモードの安い光ファイバーで、という流れも確かにあったが、結局は電子技術者が使い慣れた銅配線の性能向上にコストや開発リソースの面で追いつくことが無かった。100BASE-TXなんて、より線なんて原始的なものでしっかり安定した通信を実現している。 光ファイバーでの通信では、WDMのように波長で分割してチャネル数を増やす方式も一部で利用されているが、電磁波の変調という見方をすると、結局のところモールス信号と同じようなASKでしかなかった。 たとえば単一波長で40Gbpsの通信をすると、最大で20GHz乃至100GHzの信号波が乗っていることになるが、波長1マイクロメートルの近赤外線であっても、周波数というか振動数に直すと300THz(テラヘルツ)にもなる。信号波に対して1000倍以上も高い周波数の搬送波を使っていることになる。 ここでちょっと話題が変わって、技術の優位点ではなく、市場で普及する場合の現実性を考えて見たい。電気信号が全盛の短距離通信にあって、光通信が入り込む余地があるとすれば、電気では実現できない特性を何か持っていないといけない。さもなければ、電気で工夫したほうが使いやすいに決まっている。では光ならではの特性とは何かとなると、短絡的には高速通信ということになる。ベースバンド通信に比べたら百万倍も高い周波数を持っているのだから当たり前かもしれない。 しかし、ロジックの動作周波数がせいぜい2GHzあたりで頭打ちになってしまった昨今、たとえば40GHzの通信速度を引っさげて光通信が入ってきても、CMOSの汎用ロジックではそれについていくことができない。では2GHzのチップ内信号と同じ周波数でパッケージ間伝送ができれば、確かに現状のDDR2あたりの低速なシングルエンド通信に比べたら劇的な高速化になるかもしれない。 しかし、光回線が一本ではシングルエンド配線の束線にすら負けてしまって意味が無いので、光導波路を多数通すこととなる。しかしそうすると、量産技術が確立していないだけにコストの方も劇的にアップしてしまうだろう。それでは絶対に普及しない。電気の方だってXDR DRAMなどで使われている差動信号や低電圧信号、それに電流駆動型回路などの改良が目白押しで、半端な光回線では出る幕がない。 やはり、従来の銅配線のいいところは残しつつ、銅配線では実現できなかった部分を光通信が担うべきだろう。そこで、光が電気と違った特性を考えてみると、まずは非常に高い搬送波周波数がある。半導体レーザーであれば、かなりきれいな搬送波を出すことができる。もうひとつは、電波と同じで直交性と線形性があるところだろう。光路が途中で交わってしまっても、互いの信号が影響されることはない。交差配線が自由にできるというのは大きな特徴だろう。 もうひとつ重要なのが、簡単に遮蔽ができるということではないだろうか。黒いもので囲えば、赤外域だろうと可視域だろうと紫外域だろうと、ほとんどの光線を遮ることができる。このことには二つの利点がある。ひとつは、外光を遮蔽すれば、弱い電力の光信号であっても高いS/N比を確保できるということ。通信路容量は電力ではなくS/N比に左右されるので、ノイズを低減できればそれだけ、通信速度を高く保ったままの低電力化を図れる。 遮蔽できるという特徴のもうひとつのメリットは、EMIの問題をあまり考えなくてもいいということだろう。もし漏洩したところで、電波帯の周波数と違い、赤外線も可視光も、周囲に迷惑を掛ける可能性は少ない。紫外線は化学線とも呼ばれるだけあって、通常の電気信号で言うEMCとはまた違った問題を生じる可能性はあるが、要は低出力にしてカーボンなどに吸収させれば済む話だ。 これらの特徴をうまく利用すると、プリント基板における光通信層は、電気信号の頭で考えるように「線」で構成される必要は全くない。いくら直交してもクロストークが発生しないのだから、むしろきれいに交差できるように、均質な導波「面」にしてしまったほうがいいだろう。 すると、その面に光信号を導入する際に、ミラーである程度ビームを絞ってやれば、途中の信号を気にすることなく相手端子まで一直線に最短距離を進むことができる。複雑な多層配線などは一切必要が無くなる。 もっと言ってしまえば、それほど長距離で通信する必要が無ければ、コーンミラーで360°方向にブロードキャストしてしまえばいい。あるいは平面ミラーで90°くらいの放射にしてもいい。すると出力波は3次元空間ではなく2次元空間を拡散していくので、距離の1乗に比例して減衰する。実際にはコア層物質の吸光による減衰があるから、距離の2乗に比例して減衰するだろう。ビームを少し絞ったり、減衰率の小さいコア材料を使えば、減衰は距離の1乗に比例する程度で済むかもしれない。 それでは互いの信号が混ざって受信されてしまうことになるが、これにもうまい解決法がある。光信号をベースバンド信号ではなく変調波と考えれば、CDMAなどの直交信号にしてしまえばいい。どれくらいのチャネル数を用意するかにもよるだろうけれども、拡散符号を例えば1Gbpsくらいにすれば、チャネルあたり100Mbps程度のマルチアクセスが可能になる。 100Mbpsというとローカル通信にしては低速のような気がするが、便利なのは通信路が配線という「線」ではなく、導波面という「面」と端子という「点」で構成できることであって、設計も製造も格段に楽になる可能性を持っている。コストが安くならなければ電気には勝てないから、この程度がちょうどいいのではないか。 局部的に高周波のPLLを用意して拡散符号専用の小さな回路を用意すれば、さほど電力を食わずに信号速度を上げられるかもしれない。CDMA+光ASKだったら回路も簡単だろうから、シリコンのCMOS回路とオンチップレーザーなどで、案外実現可能なのではないだろうか。某社が持つCDMA関係の特許群が気になるところではあるが。 光は究極のブロードバンド搬送波なので、かなり搬送波を拡散しても、ちょっと波長を変えてやればそれだけで別のバンドを確保できる。伝送路が面であれば、各波長ごとに端子を用意すればいいだけの話になり、一本のファイバーに各波長を注ぎ込む現在のWDMのような苦労はしなくても済む。ただし受信側にもそれなりのバンドパスフィルタが必要になるので、これは少し難しいかもしれない。 それより簡便なのは、導波面を空間的に仕切ることである。導波面に黒い線を引けば、それを境界として区画が分かれてしまうから、それぞれの区画の中で通信をすればいい。他の区画との"EMC"は気にしなくて済む。このあたりが電気や電波に対する光のアドバンテージだろう。電波領域の電磁波を小さなシールドで遮蔽するのは難しいが、光なら1mmもあれば十分に遮蔽できる。あとは区画内の見通し距離であれば自由にバスが引ける。 性能アップとしてではなく、配線コストダウン手法としてのパッケージ間光通信導入試案でした。 ---------- こんなアイデアはどうでしょう。 私は元材料屋の現ソフト屋なので、こんなんで特許を取る気もありませんし、単なるアイデア段階ですので、パブリックドメインということにしておきます。どこかの大学で研究してくれたら面白いのになぁ。
by antonin
| 2007-08-17 03:03
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