安敦誌


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以前の記事

本音と建前の国、日本

台風9号通過中。
総武線快速がうちの近所を通過中に窓ガラスが割れたりしたみたいです。
風がうるさい。

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気になる記事をいくつか。

扇風機事故から何を学ぶか - 日経ものづくり - Tech-On!

“ルール破り”ブルドック判決のツケ / SAFETY JAPAN [大前 研一氏] / 日経BP社

日本人は「本音と建前の文化」であるというのは、何をいまさらと言う感じではあるのですが、これがちょっと度が過ぎるようになっているのではないか、という指摘であるように読めます。つまり、建前より本音を優先する傾向が、法令の実施者である行政にも蔓延しつつあると読めます。日経ビジネス誌の特集タイトルも、「ルールなき行政介入 - 事後規制に負けない!達観する会社」となっています。達観しちゃっていいんでしょうか。

以前にも書きましたが、横浜市の政令に違反したホテルの社長が「スピード違反のようなもの」と弁明したことがありました。これは、言葉づら以上に深い意味のある言葉だと感じています。

つまり、立法・司法・行政という三権の関係を成立させているのは、全て法令です。立法は文字通り法律を成立させることを使命としていますし、司法は法令の通常の解釈に加え、法令の文章だけではカバーしきれない具体的な事例について、裁判官の「良心にもとづいて」判断することを使命とします。同様に、行政は全て法令の通常の解釈にもとづいて業務を遂行することが義務付けられています。

行政の業務内容を社会に合わせて変更する手続きの正しい手順は、法律にもとづいて政令を改正するか、もしくは憲法にもとづいて法律を改正するという手続きを経て、その改正法令に合わせて行政の業務内容を変更するというものになります。

しかし、法令は大規模になりすぎ、一方で時代の変化は早くなり、行政に求められる業務遂行のペースも格段に速まっています。そうした時代環境の中で、現実世界の状況に不適切になった法令が大量に蓄積し、そうした法令を遵守することは利益よりも不利益のほうが多くなってきました。

これを解決する最良の策は、業務遂行の主体を民間に移し、最小限の法令に従えば、あとは自由に行動させることです。これにより、社会のニーズに合ったサービスが淘汰により進化していきます。

一方、公共の利益に貢献し、私利益に反するような事業は、継続して行政が執り行っていく必要があります。そして、そこに必要なものは法律を背景とした強制権であり、権力の暴走を防ぐ法令順守の原則です。このバランスを維持するために、三権の分立が必須です。

そして、法令の世界と現実世界の乖離がどんどん進み、法令を遵守する行政の業務遂行は「お役所仕事」として疎まれるようになりました。その矛盾を解決するのが、法令に違反していても現場の感覚で現状を追認してしまうという、新しい基準の採用につながりました。

この変化は一度に生じたものではなく、徐々に錆が広がるように進みました。そのわかりやすい例が道路交通法と政令の定める「制限速度」であり、最も早期から矛盾が露呈した法令のひとつではないかと思います。極端でない速度違反は検挙もされず、ネズミ捕りに引っかかるのは、運が悪いときだけ、という経験を多くの国民が体験することになります。

これに対する当然の策は、法律の範囲内で制限速度の値を見直すことであり、これは不断に行われてきました。一方で、法律上超えられない上限というものもあり、これの見直しには道路交通法を立法が修正する必要がありますが、そうした案件を扱う余裕が立法府に無かったのか、あるいは行政が面倒を嫌って法案を書かなかったのか、とにかく道交法は制限速度について抜本的な改正を受けませんでした。

これが、司法・行政に働く公務員も含めた、国民全体の順法意識を狂わせてきたような気がします。そして、その矛盾となし崩しの現実対応の最たるものが、憲法第9条第2項と自衛隊の存在という明らかな矛盾でしょう。これに対する司法の出した結論は、「高度に政治性の問題であり、司法判断の範囲を超える」という苦渋に満ちたものであったと聞きます。

冒頭にリンクした記事の要諦は、こうした日本を統治する統治機構の機能崩壊に起因すると思われます。これを修正するには、一度明治以来の法律を全て捨て去り、新たに憲法から書き直すという劇的な修正が必要かもしれません。それは、GHQによる押し付け憲法だからというような感情論ではなく、生活基盤としての仕組みを立て直すという、あくまで実利的な理由からです。

行政と民間企業の業務を正しく律し、自由主義の良いところを利用するには、時代に合った法令の整備と、それを遵守する精神の建て直しが必須です。

現行の派遣事業のように、誠実な労働者の生活基盤を圧迫するような事業を自由化し、他方で合法的な企業活動に世論の批判が集中したからといって、法令を超越した司法判断や行政指導が見せしめ的に繰り出されるようでも困ります。

あくまで本来的な手順は法令の見直しです。修正された法令に適合するように体質を作り変えることは官民を問わず義務であり、その範囲内であれば自由な活動が許されるべきです。そのためには、法令は最小限の記述で、天網恢恢疎にして漏らさずというのが理想であると思います。(法律に具体的な記述が無い部分について司法が判断を下すのは法令の適用範囲内です)

耐震強度計算書偽造事件では、審査の民営化が是か非かという議論がありましたが、それ以前にこの事例は明らかな法令違反なのであって、むしろ遵法意識の問題のほうが重要だと思います。

日本は法治国家として崩壊の危機に瀕しているように思います。誰もが守っていることは黙って従うという国民性なので、誰もが守れる単純な法律を整備することが第一歩だと思います。複雑に絡み合って機能不全に陥った法令体系を、数年掛けて一度リセットするような憲法改正であれば、大賛成なのですが。

日本国憲法の末尾に、以下のような条文があります。

第11章 補則

〔施行期日と施行前の準備行為〕
第100条この憲法は、公布の日から起算して六箇月を経過した日〔昭二二・五・三〕から、これを施行する。
2 この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日よりも前に、これを行ふことができる。
〔参議院成立前の国会〕
第101条この憲法施行の際、参議院がまだ成立してゐないときは、その成立するまでの間、衆議院は、国会としての権限を行ふ。
〔参議院議員の任期の経過的特例〕
第102条この憲法による第一期の参議院議員のうち、その半数の者の任期は、これを三年とする。その議員は、法律の定めるところにより、これを定める。
〔公務員の地位に関する経過規定〕
第103条この憲法施行の際現に在職する国務大臣、衆議院議員及び裁判官並びにその他の公務員で、その地位に相応する地位がこの憲法で認められてゐる者は、法律で特別の定をした場合を除いては、この憲法施行のため、当然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲法によつて、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。


こんなものを半世紀以上もだらだらと残し続けた憲法は、確かに改正の価値があるでしょう。
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by antonin | 2007-09-07 03:31 | Trackback | Comments(0)
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