安敦誌


つまらない話など
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目ざわりの良さにとことんこだわりました

コンタクトレンズの宣伝文句に、是非。
目障りに拘泥。
新世紀日本語構築のための二正面作戦遂行中。

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mixiのとあるコミュニティで、「ナイトキャップをたしなみますか?」という質問が出ていた。文脈からして当然に「寝酒」の意味でのnightcapであることは間違いないのだけれども、「シャワーキャップ」みたいなものを、特に女性が就寝時にかぶるのもnightcapと呼ばれるらしく、また、こちらの意味だけしか語彙に持たない人も多いらしく、アンケートの場は混乱していた。「ナイトキャップは持っていません」とか。

しかし、最近お気に入りの下記サイトでも話題になっていますが、ニュースの見出しがすごいことになっているケースが増えてきているような気がします。特にYahoo!のトップページとか、プロの記者が短縮したのではなく、ポータルの人が短縮してしまったようなケースで特に。プロの記者ってそれなりに日本語に対する矜持が感じられますから。

一斗茶太的日常 - お昼のFNNニュースを観ていたら

一番参ったのが「A社、B社に買収へ」みたいな見出しでした。もうweb上に残ってないので引用できないのですが、「A社がB社に買収を仕掛けるみたいですよ」なのか、「A社がB社に買収されるみたいですよ」なのかがわからない。わからないので、あまり興味はないものの本文をクリック。

こういうあいまいな見出しというのは、実は本文を読むまでもなく簡潔に情報を示すという新聞的技法ではなく、本文をクリックせざるを得ないように心理誘導するというpay per clickな広告リンク的手法なのではないかと感じています。

「新書のタイトル」というのが最近注目している日本語技術なのですが、養老先生の大ヒットした(口述筆記ベースの)新書に「バカの壁」というものがありました。

あれより前に「唯脳論」という名著があり、こちらは「~の壁」シリーズに比べてはるかに質の高い議論が提示されていて、読み応えがありました。内容も十分価値の高い名著なのですが、「唯脳論」というタイトルが素晴らしく、そしてそれを考え出したのが出版社の担当者で、養老先生自身をして「『唯脳論』という言葉が全てを示していて、はじめからこの言葉があれば、こんな本を著す必要はなかった」というようなことを「唯脳論」文庫版の序文に書かせるほどの名タイトルでした。

ここにもあるとおり、通常、新書の執筆をされる研究者というのは、内容には深いこだわりを持ちつつも、タイトルには比較的無頓着に論文調のものを選ぶ傾向があります。しかしそんな質実剛健なタイトルでは多くの人が手に取ってくれさえせず、売り上げに深刻な影響を与えることを出版社の編集者は知っているので、タイトルには的確かつ「内容以上に読者を惹きつける」ような、いわゆる「キャッチー」なタイトルを付けようとします。

「ほめるな」という本を買ったことがありますが、これはひどかった。内容は妥当なのです。「ほめて育てる」という、山本五十六も言っていた教育の基本技術を、イデオロギーのように極端に信奉し、本来褒めるべきではない場面や、相手の技量から見て、その程度で褒めれば逆に人を小馬鹿にしていると捉えられるような場面においても「褒める教育」に拘っているような人を批判するものでした。これは非常に重要な問題提起であり、妥当な内容でした。

ひどいのはそれに対して「ほめるな」というキャッチーなタイトルを付けることではありません。そうではなく、おそらく編集者が著者に過剰な干渉をしたのでしょうけれども、「ほめるな」というタイトルに合わせて本文の構成を改変するように干渉があった形跡が本文に見られたのです。ひとしきり、「褒めすぎる教育」の問題点を指摘したあとに、「ではどうするべきか」という章が出てきて、褒めないようにする具体的手法が書かれているのですが、今度はこちらが「褒めない教育」イデオロギーになってしまっていて、実にひどいものでした。

よく、良質なジャーナリズムに対し、「問題はわかったが、ではどうすればいいのかを示していない意見なので価値がない」というような批判を投げかける読者の意見を見ます。しかし、「ではどうすればいいか」を考えるのは読者自身の問題なのであって、問題を分析、抽出する作業は、具体的対策を立案実行するのとは全く独立した作業であり、ジャーナリズムは問題を顕在化させるだけで重要な役割を果たしていると思います。

良質な問題提起があっても、粗雑な解決策を示してしまったがために、かえってジャーナリズムとしての価値を破壊してしまっているような記事も散見します。蛇足の故事さながらの状況と言えます。「ほめるな」でも同様のことが起こっており、これを引き起こしたのは決して著者の勇み足ではなく、編集者の不見識な過剰干渉にあったと感じます。それをにおわす記述が実際に本文中に書かれているので、読者もそれを知ることができます。

良書の主張を広く世に問うためには、ある程度キャッチーなタイトルが必要なのはわかります。しかし、内容よりまずタイトルありき、言論の流布よりまず売り上げありきというような態度は、むしろ出版界が自らの首を絞める行為であるように思います。これを放置すれば、「納豆でやせる」と同レベルの書籍が濫造される結果になるのではないでしょうか。そうなれば、活字離れを嘆くというより、むしろ積極的に活字を離れることを勧めなくてはならない世界に突入してしまいます。

もう民放テレビなどはそういう状態に入って久しいですし、大手新聞社の新聞も似たような状態です。大新聞を毎日読んでしまうと、了見が狭くなるばかりです。子供の目にこれを触れさせるのは危険ですらあります。日常生活に密着したチラシは大事な情報源なので、なかなかこれを手放すことはできないのですが。無駄なチラシを除き、必要なチラシだけを選択的に届けてくれるようなビジネスがあれば、月に500円くらいなら払ってもいいのですが、物が広告だけに、無料でも十分ビジネスが成り立つように思いますが、いかがでしょうか。

話がずれましたが、ニュースの見出しもこういう良心的とは限らない手法が適用される分野になってきたので、読者としても狐につままれないよう、よくよく眉には唾してネット界隈を歩くようにしましょうというところで結論としたいと思います。2chあたりで魑魅魍魎相手に余裕綽々としているネットの達人には余計な忠告ではありますが。
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by antonin | 2007-09-23 15:57 | Trackback | Comments(2)
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Commented at 2007-09-25 01:49 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by antonin at 2007-09-25 21:53
あ、ほんとだ(笑)
間違えてました。ご指摘ありがとうございます。
早速訂正させていただきました。
もう公開しちゃえ。

>こんばんは、引用ありがとうございます。ご贔屓にしていただけているようで、うれしいです。
>さて、本エントリで話題にされている「ニュースの見出し」のぐだぐださですが、引用なさりたかったのは、弊ブログのこちらのエントリではないでしょうか?
>http://d.hatena.ne.jp/Chatterton/20070919
こんばんは、引用ありがとうございます。ご贔屓にしていただけているようで、
>うれしいです。
さて、本エントリで話題にされている「ニュースの見出し」のぐだぐださですが、
>引用なさりたかったのは、弊ブログのこちらのエントリではないでしょうか?
>http://d.hatena.ne.jp/Chatterton/20070919
>ちょっと迷いましたが、一応、非公開コメントとさせていただきますので、
>訂正なさるようでしたらよろしくお願いいたします。では失礼いたします。

鍵マークの文章を公開するというのはある意味暴挙なので、問題がありましたら消去させていただきます。
失礼いたしました。
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