by antonin
検索
最新の記事
記事ランキング
タグ
雑感(302)
雑談(151) 妄想(126) ニュース(96) 散財(77) web(65) おバカ(59) 検索(54) 親バカ(45) 日本語(41) PC(40) 季節(39) 昔話(35) 信仰(31) 政治経済(29) イベント(27) 言語(25) 音楽(24) 言い訳(22) ビール(15) 以前の記事
最新のコメント
ライフログ
ブログパーツ
ブログジャンル
|
マリアとマリウスの出てくる話を書いたことがあった。 安敦誌 : 100人のマリオ それからしばらく、「シベリア」と「シベリウス」という音にも同じような類似性があることが気になっていた。ひょっとしたら関連性があるんじゃないか。ということで調べてみたら、「シベリア」は"Siberia"で、「シベリウス」は"Sibelius"だった。ヨーロッパの言語でLとRの違いは決定的で、到底、同語源の語とは考えられない。というわけで終了。 というのでは寂しいので、周辺情報を少し拾ってみた。"Siberia"の語源は、現在の西シベリアに15世紀から16世紀にわたって存在したシビル・ハン国の首都シビル"Sibir'"から来ているという。シビルはその後のタタール系言語では「カシュリク」とか「イスケル」などと呼ばれていたようだが、16世紀以降は廃墟となり発掘遺跡が現存するのみらしく、資料が少ない。シベリアとは、「タタールの軛(くびき)」の歴史を色濃く残した名前なのであった。 一方の"Sibelius"はというと、フィンランドの作曲家、ジャン・シベリウスを指している。シベリウスといえば「フィンランディア」だけれども、この曲は当時ロシアの支配下にあったフィンランドが、その圧政から逃れて自主と独立の回復を願う音楽だった。当時のロシア政府から演奏を禁止されたという話は有名だ。 日本人にとってスカンディナヴィア周辺に位置する北欧三国、つまりノルウェイ、スウェーデン、フィンランドの各国は、その印象が似ていて区別しにくい。ノルウェイはスカンディナヴィア山脈の北側にあってノルウェイ海に面し、スウェーデンはその南側にあってバルト海とボスニア湾に面している。フィンランドはスウェーデンの東にあってロシアと国境を接し、ラップランドを抱えていたりフン族に由来する言語特徴を含んだフィンランド語を公用語としたりして、アジア人にはやや親しみやすい。 「フィンランディア」の初版が書かれたのが1899年というが、フィンランドの「隣国」ノルウェイの英雄アムンゼンが人類で初めて南極点に立ったのが1911年だった。19世紀から20世紀に移り変わるという時期に、スウェーデン系でフィンランド出身でロシア国民であるところの、作曲家ではないシベリウスさんが東方探検に出て各種の発見をもたらしたために、彼の地が「シベリア」と呼ばれるに至った。そんな妄想を描いていたのだが、どちらにしてもヨーロッパから陸続きの地の発見に19世紀末ではちょっと遅すぎたのは間違いない。 LとRの話のついでにもうひとつ。 ルノーの車種に「ルーテシア」というのがあったが、これはパリを指す古い名前なのだという。本国では「クリオ」と呼ばれていたのだが、日本国内ではホンダの商標と衝突したため、この名前になったのだという。フランス語では"Lutécia"と綴るが、ラテン語では"Lutetia"となる。 そして、1907年にパリ出身の科学者ユルバンが単離に成功した元素は、"Lutetium"(ルテチウム)と命名された。質量数176のルテチウム同位体は半減期が378億年と長く、また地層中の含有率としては金や銀よりも豊富であるため、地層の年代推定に用いられているという。 これに先立つ1844年、ロシアのクラウスによって単離された元素は、やはりラテン語でロシアを意味する"Ruthenia"から"Ruthenium"(ルテニウム)と命名された。ルテニウムは耐腐食性の高い物質であり、数ナノメートルの薄膜に加工され、ハードディスクの磁性粒界や露光マスクの保護層など、最先端テクノロジーの現場で利用されているという。 そんなルテチウムとルテニウムだが、元のスペルは全く異なるのに、カタカナで書いてしまうとほとんど区別が付かないくらいに似てしまう。BとVは福沢諭吉か誰かが「ヴ」という超絶技巧による仮名表現を考えてくれたおかげで、日本人にもなんとか書き分けることができるようになったが、LとRや、T,DとTHとS,Zなどは、どうやっても書き分けることができない難所となって日本人を悩ませ続けている。 日頃馴染みの薄い元素名などでは他にもこの手の紛らわしいやつが大量にあり、例えば「タリウム(Tl)」と「トリウム(Th)」と「ツリウム(Tm)」があり、これに「テルビウム(Tb)」や「タンタル(Ta)」や「テルル(Te)」などが入ってくると、もう手に負えなくなる。Tで始まる元素にはまだ「チタン(Ti)」や「テクネチウム(Tc)」があるのだが、嫌がらせとしか思えない。 ちなみにテルビウムの名の由来になった「イッテルビー」というスウェーデンの地からは多くの新元素が見つかったらしく、「イットリウム(Y)」や「イッテルビウム(Yb)」などという元素名も生まれている。いい加減にして欲しい。 面倒なので参照ページを最後に一括掲載して終わりにする。 シベリア - Wikipedia シビル・ハン国 - Wikipedia ジャン・シベリウス - Wikipedia フィンランディア - Wikipedia ロアール・アムンセン - Wikipedia Qashliq - Wikipedia, the free encyclopedia フィンランド - Wikipedia フィンランドの歴史 - Wikipedia 外務省: ノルウェー王国 外務省: スウェーデン王国 外務省: フィンランド共和国 ルノー・クリオ - Wikipedia パリ - Wikipedia ルテチウム - Wikipedia ルテニウム - Wikipedia ルテチウム Lutetium ルテニウム Ruthenium 元素周期表 ルテニウム - 通信用語の基礎知識 ルテチウム - 元素資料集 -- Ray:雑学事典 ルテニウム - 元素資料集 -- Ray:雑学事典
by antonin
| 2008-06-30 23:40
|
Trackback
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||