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最近になって、「オノマトペ」という単語をよく目にする。擬音語とか擬態語とか、そういうものを指す術語らしい。たしかに日本語にはそういうものが多い気がする。「はらはら」とか「てかてか」とか、擬態といってもあまりリアリティのあるような感じでもない。ハワイのカメハメハ大王の名前は「カ・メハメハ」という区切りになっていて、この「メハメハ」というのが寂しい様子を示す形容詞、というか擬態語なのだという。これも日本語の擬態語に似たような響きがある。 フィリピンのセブに行ったときには、ラプラプという地元の英雄の像を見てきた。セブ島に隣接する有数のリゾート地であるマクタン島の中心市街はラプラプ・シティーといった。この英雄の名前が擬態語なのかどうかまでは調べがつかなかったが、どうもミクロネシア周辺諸部族の言語にはこういう構成の単語が多いような気がする。やはり島国の言葉である日本語の源流の一つにも、ひょっとするとこういう海洋民族の影響が残っているんじゃないかと夢想する。 国語学の用語に「上代特殊仮名遣い」というのがあるらしく、それによると、日本人が文字を使い始めた当初の日本語では、母音の種類が7,8種類はあったのではないかと言われているらしい。そういう面倒な母音構成をしていた上代日本語が、徐々に音韻変化を遂げて母音が5種類でオノマトペの多い現代日本語になった。ひょっとすると、稲作文化の影響を色濃く残す上代日本語が、文字の歴史に現れてこない島文化の日本語と交雑してできたのが現代日本語なんじゃないか。 そういう目で見てみると、奄美あたりの琉球方言では母音が3種類しかないなんていう話が思い出されて面白い。この地方では、「い」と「え」、「う」と「お」の区別があいまいで、これに「あ」を加えた3種類の母音で構成されているらしい。母音が7種類ほどあった弥生語と、母音が3種類しかない島言葉が融け合って、間を取って5種類の母音が残った、というのはあまりにも荒っぽい推論だけれども、場合によってはそういう過程があったんじゃないかと想像してみるのも楽しい。 そして、その融合の過程で日本語にオノマトペが定着したんじゃないかという想像も巡らせてみる。そういえば、いつか流行した島唄風の歌謡曲のタイトルは「涙そうそう」だった。大和朝廷の男たちは、その教養の証として漢文(真名)しか使わなかったようだが、女たちは女手とも呼ばれた仮名を使って、言文一致体の文章を書き残した。そういう流れから、漢文では書き表しようのなかったオノマトペが、徐々に文字の世界に上り始めたんじゃないのか。 肯定的でも否定的でもいいのだけれども、こういう疑問に答えを出してくれるような、国語学の雑学を簡単に教えてくれる新書などはないだろうか。おそらくそれらしいものはあるんだろうけれども、数千冊ある新書の山から狙った本を引き当てるのは難しい。まぁ当面は国語学よりもJavaScriptとかUnicodeの勉強をした方がいいんだろうけど。
by antonin
| 2010-05-21 02:37
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