by antonin
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正直なところ、福島第一原発の大惨事は、人災だなぁと思う。なぜ人災かというと、ある程度明確な危険性が事前に指摘されていたのに、管理側がそれを放置して、結果的に「それ見たことか」という結果になってしまったからだ。ただ、福島第一原発の事故が人災であるということを裏返すと、そういう人災さえ起こらなければ、原発という物自体はそれなりに安全な装置なのではないかということも思った。 福島第一原発の大事故の影に隠れているけれども、女川原発はこの「想定外」の大災害を無事に乗り越えて、それなりの被害を出しながらも安全に冷温停止している。福島での地震被害を「想定外」としてしまうのは、あまりに想定が甘いんじゃないだろうかと思うが、女川ははっきりと「想定外」と言ってしまっても許される程度の地震と津波だったのではないかと思う。ところが、女川原発は生き残り、福島第一原発は爆発した。この差の部分が、人災と言えるのではないかと思う。 私は学生時代に原発問題をいろいろ叩き込まれた経験があって、人類には処理できず保管を続けるしかない放射性廃棄物を発生する通常運転でのリスクが、原子力発電の最大の問題点であると思っていた。正常に運用しながらでも未来に危険を残すことが悪いのであり、実際に構造上の大事故は起こらないと信じていた。しかし、それも「想定が甘かった」ということを、今回の事故で思い知らされた。 嘘も方便というけれども、それは素人への方便であって、ちゃんと真実を知り抜いている玄人は、別方面で育成されていなければならないと思っている。明治の学校は天皇が神の末裔であって尊敬の対象であると教えていたが、明治の元老は当然、そんなことは方便であり、天皇もただの人間であることと、民衆の尊敬が統治のための方便であることを知っていた。それを全国民に均一の教育をしてしまったために、方便の教育で成績の良かった学生が中枢に入るあたりから、日本はおかしくなってしまった。今の民主党政権も、戦後教育の方便を信じた世代が中枢に入ってしまっておかしくなっている段階だろうと思う。 原発の安全性も同じで、原発は危ない危ないと言っていたらどこにもそれを作れなくなってしまうので、安全ですよ、安心ですよという広報活動は実際的に見れば必要になってくるだろう。ところが、実際に運用に当たるプロまでが、方便であるところの安全神話に染まってしまうようになると、現場は危険にさらされる。覚悟を決めたプロには、危険性を理解しつつそれを制御する教育が必要だったはずだけれども、そういうものが一部で機能不全に陥っていたのだろう。 福島第一原発は国内でも最初期に稼動した原子炉で、安全対策も旧式だし、しかも当初想定されていた耐用年数をはるかに超えて運用されていた。同じ福島第一原発でも、遅れて設置された5,6号炉は正常に停止しているし、女川原発や柏崎刈羽原発も震度7の激震に対してわずかなダメージで生き残っている。大事故と無事故の境界を分けた要素が、機械的システムと人的システムの双方でどのあたりにあるかということを、あまり犯人追求型にならずに、失敗学の先生にはしっかりと検証してほしい。 で、過去だけではなく未来の方も見渡すと、節電対策の議論もある。夏場の電力不足は数年前から確定事項なのだし、実際に夏場は大口需要家への電力制限なども実施していた。それに加えて原発がこういった状況になっているのに「電力不足に根拠なし」という意見があるのもどうかと思うが、そういう無茶な意見が出るのも、電力各社の情報開示が足りておらず、予期しない過負荷で電力網がどういったダメージを受けるのかという想定も十分に告知されていない、という状況が先行しているからだという気がする。 もっと長いスパンで指摘されている問題を見ると、日本には世界的にもあまり類を見ない多額の公債が降り積もっているという現実がある。これも、近い将来にデフォルトに陥るとかハイパーインフレが発生するとか警告されている一方で、これもまた世界に類を見ない多額の個人資産があるから、デフォルトもハイパーインフレも絶対に起こらないという極端な反論を招いている。 今回の事故の反省を活かすとするならば、ノストラダムスの予言のように恐怖を煽ったり、逆に完全になんの心配もないと問題を突き放すのでもなく、特定のリスクが実際に発生した場合、どういう現象が起こって、その時どういうオペレーションには意味があり、どういうオペレーションには意味が無いか、あるいは逆効果であるかといったことを真剣にシミュレーションして、そこから得られた知見に基づいて適切な訓練をしておくべきなのだろう。今回の震災では津波で多くの人命と財産が失われ、それに伴う反省点も多数見つかったが、事前の津波対策で救われた命もまた多く、スマトラ島の津波に比べれば死者数は一桁少なかった。そういう成功した部分にも学んでいいのではないかと思う。 国債の破綻、あるいはそれに伴う個人金融資産の実質価値暴落という、データから想定されうる事象について公表する度胸がないのに、それを未然に防ぐための増税だけを提示しても、納税者の反感を買うに決まっている。都合の悪い事実でも、ときには決然と公表しなければ、また似たような人災が起こるだろう。個人的には、どういう形であれ与党に復帰した与謝野さんの仕事には期待しているのだが、もうちょっと現実的な議論を聞かせて欲しいという欲もある。まあ、これは政治というより報道の責任なのかもしれないが。 従来の情報が固定化して動きにくい時代には、情報を掘り出して送り届けるジャーナリズムの側の責任が大きかったが、情報がネットを通じて流動化している現代では、雑多な情報の中から有益な情報を抽出して分析する責任というのは、どちらかというと読み手の側の責任になりつつある。役に立たない政治家を吊るし上げるのは楽しそうだけれども、それよりも公開情報を読み解けるような勉強をするのが、結局は自分を守ることにつながるのかもしれない。
by antonin
| 2011-06-12 15:06
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Comments(5)
ども。(←他の方々に倣ってみた)
おっしゃること、まことにごもっとも。 自分で考えて判断する重要性、それを裏付けるための勉強の重要性を 改めて痛感してます。 私個人は、政治経済がものすごく苦手なのですが、 そんな戯れ言をほざいて甘えてる場合じゃないですね。 今更ではありますが・・・
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ふぁぜろ
at 2011-06-17 18:05
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antonin at 2011-06-20 22:13
>なふなふ
まあ、保険の契約する前には保険について調べるとか、カメラを買う前にはカメラについて調べるとか、個人としてはそういうレベルでいいんじゃないでしょうか。売り手の宣伝以外の意見に目を通すだけでもずいぶん違うと思いますし。 >ふぁぜろ なんというか、日本はある意味もうアウトだろうと思うんだけど、3アウトになったらまたチェンジすりゃいいじゃねえかという気分でもあります。 で、フグとウニはいいとして、フカヒレって気仙沼で水揚げされるのが多いらしいんだよね。津波食らって壊滅状態になってた漁港は復活してるのかな。
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fazero at 2011-07-07 16:21
あれまー んあら ふかひれ わ あとまーし
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antonin at 2011-07-11 00:23
在庫は一部残っているらしいので、見かけたら買ってあげてください。
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