by antonin
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いろいろと仕掛りが溜まっている。風邪を引いたりしてマンキューの再読もペースが上がらないけれども、少し軽口を叩いてみようかと。 選挙の話。個人的にはまだどういう投票行動をするか決めかねているのだが、それはさておき、野田首相がなんだか面白いな、と思った。解散宣言が飛び出たあの党首討論を見て、「野田ちゃん馬鹿正直だな」なんていう感想を速攻アップした人もあったし、個人的にもあの討論にはグッと来るものがあった。が、なんにしろ野田さんである。そこまで直球だとは思えない。 首相になった当初はどんな人物なんだかよくわかっていなかったが、その後、過去の言動なんかが細かく調べられていくと、やっぱりこの人、相当にタヌキだな、というのが今のところの結論になっている。そういう目で見ると、馬鹿正直なのは野田さんではなくて、野田さんの演説に挟まれたエピソードを直球で受け止め、正直すぎるとか良い人すぎるとか言ってしまう人のほうなんじゃないかと思える。 例えば、自民党から民主党に政権が移ることになった総選挙での演説なんかを拾うと、当時の民主党の「いわゆるマニフェスト」に即した内容を力説している。で、いざ首相になってみると、完全に手のひらを返したような政策を打っている。公約違反という意味でも国民への裏切り行為だし、増税という誰も喜ばない政策に血道を上げているという意味でも国民を裏切っている。 確かに、短期的に、といっても国家の計なので5年10年というスパンになるのだけれど、そういう範囲では経済にも国民生活にも、何もいいことはないと思う。けれども、ここで現在の国民にいい顔をしても、30年50年というスパンになってくると、人口オーナス解消後の経済復活の芽を摘む愚策になりかねない。 今は増税の時ではないというけれど、じゃあいつなら増税できるのか、という問題がある。例えば公債残高が国民貯蓄の総計を大きく超え始める段階で一気に消費税率20%超えの大ジャンプができるのかというと、もちろんそんなことはできない。熱い湯に体を慣らすように、ゆっくりと税率を上げていく必要がある。法人税減税と物品税廃止あたりに始まった直間比率是正の終着点が消費税25%あたりとして、現行円債破綻のデッドラインも20年先くらいだとすると、今増税のアクセルを踏んでおかないと、いざ国債崩壊という時に借金をチャラにした先の健全な国家経営ができなくなる。 というわけで、今のうちに増税をやっておかないと次の世代に禍根を残すわけだけれども、そういう大志のために、野田さんは今の大衆をかなり巧妙な手段で騙しに来ているように見える。TPPのほうはまだよくわかっていないけれども、今のところ「ガイアツ」を使った、国内の過剰規制を切り崩す口実を見つけようとしているようにも見えて、そうすると「短期的不利益と長期的利益」という統一的な理念で説明がつくようになる。 おそらく野田さんとしては、「民主党をぶっ壊す」という戦術で進んできたのだと思う。政治家個人としての評価も著しく下がる政策を打っている以上、与党の評価も著しく下がるわけで、野党よりも与党内の軋轢のほうが政治生命に関わる部分が大きかったと思うのだけれども、そのあたりも論功行賞人事だの、なんだかんだで乗り越えてきた。小泉さんが基本的に郵政以外の政策について丸投げだったのと似て、野田さんも増税以外の政策は基本的に力を抜いていた。このあたりは権力の向けどころという本丸が定まっているからこそのコントラストなんだろう。 で、選挙が終わればもう与党民主党も野田総理もありえないということを前提と見て、それでいて最後まで民主党の党首として自民党や第三極相手に議論をしている。このあたり、すでに決まった勝負を白けさせないための演技のようなところがあって、そういう目で見るとなかなかの役者に見える。 まだ疑問の余地は多いのだけれども、今理解できている情報をかき集めると、20年前後未来に国債が破綻するが、それは国民貯蓄の塩漬けになっていた部分の切り捨てだけであって、このあたりはモラトリアムとか無利子特法などで切り抜け、ウヤムヤにしつつ棒引きにすることになるらしい。かといってハイパーインフレなどにはならず、20年先現在の日本国民の付加価値生産率に応じた為替を維持するから、「暴動を起こさない国民性」を最大限に生かした、現金資産保有層に損害をなすりつけて無事手打ち、という結末が有力らしい。もちろん、世情に長けた層は現物資産や海外資産などでしっかり担保を取っているだろう。 このとき、政府が相変わらず単年度赤字ダダ漏れだと赤字国債発行による資金調達の道も塞がれていて経済混乱に陥るが、国債償還の負担さえ取り除けばいきなり健康体に戻るような税制になっていると、国債に吸い取られていた流動資金が市場に流れ込んで、戦後のような大復興がやってくる。だいたいこういう流れになるらしい。 与謝野さんが麻生政権で運悪くサブプライムショックに遭って、自らの手で日本国債にとどめを刺してしまった事を心底悔やんでいたのだろう。恥も外聞も捨てたような形で政権中枢に返り咲き、声を失いながらも増税の筋道をつけて、自分のしたことに落とし前をつけるという壮絶なことをやってのけた。ただ、ここに来て、小泉・竹中改革で一度鎮火した国債膨張に再点火してしまった人が次期首相最有力候補でもあるので、なんだか巡り合わせってのは恐ろしいものだなと思う。
by antonin
| 2012-11-26 21:46
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