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最近は海外で日本文化を褒める話を拾ってきて和訳するサイトが流行しているが、ああいうのを読むと、やっぱり日本文化って素晴らしいな、とは思えなくて、他人の行状を自然に褒められる海外のネットワーカーの文化って素晴らしいな、とか、そちらに目が向いてしまう。まあ、海外にも汚い意見は多数あって、単に翻訳されないだけなんだろうけれども、それでも実際、日本のネット論壇ほどにはギスギスしていない印象がある。国内の某匿名掲示板でも、VIPだけは独特のおっとりした雰囲気があったけれども、最近はどうなんだろう。 で、そういう海外の声を聞くと、フランスなんかでは日本文化が比較的受容されているのに対し、イギリスではあんまり評判が良くない感じがするのはなぜなんだろう。もちろん言語バイアスみたいなものはあるので、英国人(イングランド人ではなくUKの人)なら誰でも基本的には英語で発言するが、フランス人は国際文化に寛容な人は英語で発言するけれども、排他的な人らなら当然フランス語で発言するから、そちらは日本人の翻訳圏外に至りがち、ということはあるだろう。言語バイアスのあるフランス人の英語発言は日本文化を含めた異文化に好意的で、言語バイアスがなくドメスティックな意見まで英語で書かれるので日本から簡単に読めてしまうイギリス人の発言のほうが、異文化に厳しいという傾向は出るかもしれない。 ただまあ、finalvent氏みたいにフランス語を勉強してフランス人のドメスティック領域に首を突っ込む気はないので、ここは仮にイギリス人よりフランス人のほうが日本文化に好意的であると仮定しておく。とすると、その理由について何かうまい説明は可能だろうか。そういうことをときたま考えていた。で、あるときひらめいたのだが、実はイギリス人から見た日本人というのは、ひどく恩知らずな国民なのではないか、と、そんなことを思った。 私は明治時代の歴史にはあまり詳しくなくて(というより歴史全般に、かもしれないけれど)、断片的に見聞きするエピソードをつなげたような知識しかないのだが、そういう知識で簡単に考えると、日本海軍はイギリス海軍のコピーであり、日本陸軍はプロイセン陸軍のコピーであったらしい。憲法とか国民学校とかは陸軍と同じドイツ系の由来を持っていて、鉄道とか紡績機械とかそのあたりは海軍と同じイギリス系の由来を持つという、ざっくり言うとそういう感じだったらしい。 で、明治初期の時代には多くのヨーロッパ人が指導者として来日したけれども、中でもイギリス海軍は日本に惚れ込んで、かなり親身になって日本海軍を育ててくれたらしい。日露戦争で日本海軍がバルティック艦隊を殲滅できたのも、そもそもロシアの西端に基地を構えるバルティック艦隊が、極東海域までノコノコ遠征してきたのが最大要因であり、そうなるようにロシア海軍をそそのかしたのも、移動途中の補給線でじんわりと利く意地悪をして艦隊を弱めたのも、当時世界の海にネットワークを持っていた英国海軍の根回しあってこそ、という話を聞いたことがある。 そのあたりの「陰謀論」の真偽を測る知識もないのだが、カレーライスが国民食になったことも含め、英国海軍が明治の日本に及ぼした影響は甚大であったらしい。そうやって手塩にかけて育てた日本海軍と大日本帝国が、国際連盟の常任理事国にまで招き入れてやった恩義も忘れ、後ろ足で砂をかけるように国際連盟を脱退、果てはナチスドイツと同盟を組んで宣戦布告、鬼畜米英などと抜かす始末。 日本では戦後にこのあたりの情報は国民の頭からやんわりと消されていくのだが、英国のパブリックスクールなんかでは直近の外交史としてきっと生々しく教えられているだろう。で、過去は過去として表面上だけでも穏やかに接してやろうと思っても、現代日本人が英国人に対して開口一番何を言うかと思えば、「イギリスって食事がまずいんでしょ?」なのだから感情もこわばるというものだろう。このあたり、日本と直接交戦した歴史もほとんどないわりに、今では食い物で褒め合っているフランスやイタリアあたりとは大違いの部分でもある。宮崎駿さんもこないだの会見でなんか言っていたし。 最近、反日活動のしっぺ返しというのか、日本が併合期の朝鮮半島に対してどれだけ資本的、文化的投資をしてやったか、というような話が頻繁に聞かれるようになったが、そういう話を聞きつつ思うのが、チョンマゲを落としてから近代軍装がサマになるまでに、いったいどれだけ英国が日本に対して資本的、文化的投資をしてくれたのだろう、という事だった。 戦後のアメリカによる対日投資というのは日本人ならば誰でも知るところなのだけれど、その占領統治政府が抹消にかかった明治政府の意義の中に、英国から受けた恩義というのが多分に潜んでいて、明治政府の歴史と一緒になって消されてしまったのではないかと思うようなった。 日本人に馴染みの深い英語由来の外来語は、米語としてはおかしいものの、イングランド語としてはそこそこ通じる音が多い。アメリカの船に拾われたジョン万次郎さんは「ワラは水なり」みたいな辞書を作ったらしいが、その後の日本では「ウォーター」という音が広まった。これはゲルマン臭のキツい米語の発音ではなくて、ラテンっぽく母音を明瞭にするイングランド語の発音に近い。こういう部分にも外来語が外来した当時の日英の関係が影響しているのではないかとも思う。そういえば夏目漱石先生の留学先もイングランドだった。 人の振り見て我が振り直せ、というのか、英国人の紳士的慎ましさと、たぶんドロっとしているだろう怨念のようなものに、少し思いを馳せてみてもいいのではないかと思った。どのみち、日本の近代史にはいずれ手を出さないといけないのだけれど。
by antonin
| 2013-10-30 00:20
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