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というわけでお盆休みが終わり単身部屋へと戻ってまいりました。 不在中コメントを頂きありがとうございました。 Yahoo! BBが会員限定で映画「カサブランカ」の無料配信をしていたので、ちょっと見てやろうと思ったら全部見てしまった。そういうわけでまたしてもこんな時間に。 ありゃぁ、恋愛映画というより戦争映画だね。拳銃で二人ばかり人が死ぬだけだけれども。 宮城県沖地震は特に影響ありませんでした。 ---------- スターウォーズ Ep.IIIのノヴェライズを9割がた読了。映画では説明しきれない、登場人物の意識を明確に記述できるのが小説の利点で、映画での消化不良がかなり解消された。R2D2の「台詞」まで書かれているのはちょっと余計か。一方、アクションシーンなどはなんと言っても映像の力にかなうものではなく、異形のジェダイ・マスターたちの姿などを文字で説明されてもさっぱりイメージがわかない。これは映画を見るに限る。つまりそれぞれ相補的な役割を果たしている。小説が映画を前提としているのはわかるが、映画が「詳しくは小説版で」という作りだとしたらちょっと問題か。 ネタバレは避けたいので固有名詞は出さないが、あの青年が十字軍時代の修道騎士団のごときジェダイ・オーダーの騎士からシスの暗黒卿へと堕ちていく核となるのが、あの女性への異常な執着であるということは小説版でよくわかった。青年は愛だというが、次第に独善的な執着へと変わり、ふたりの身を滅ぼす。 スターウォーズの旧三部作が公開されたあと、あの映画のカット割りに黒澤映画と同じものがいくつかあると話題になったし、ヨーダが依田という日本人に似ているという話もあった。けれども、それ以上にルーカス監督は古い西部劇の小品を参考にしていると言っているし、Xウィングのドッグファイトは第二次大戦の実写を参考にしたと思われる古い戦争映画を模倣しているらしい。 ルーカス氏が原作を創るにあたっては、旧約聖書、ギリシャ神話、ホメロスの叙事詩、北欧神話、ヒンドゥーやその他世界中の神話を参考にしたらしい。ルークが柔道着みたいな服を着ているとか、ヴェイダーの兜が戦国武将のものに似ているとかいう日本的な要素は、無国籍なスターウォーズ世界の一面に過ぎない。 その中で、あの青年が理力(フォース)の暗黒面(ダークサイド)に堕ちた理由のひとつが強い執着であり、その執着のために執着の対象さえも失ってしまうという話になっていた。ジェダイ・オーダーの「教え」では、執着は暗黒面への誘いとなるので、ジェダイはこれを捨てなくてはならないことになっている。小説版ではどのジェダイ・マスターも何かしらの執着を捨て切れていない人間性を残しているようだが。 この「執着を捨てよ」という教えは、ルーカス氏本人も古代インドの思想と関係があるとどこかで言っていた。これは恐らく原始仏教のものだと思われる。「しゅうちゃく」というと日常用語だが、「しゅうじゃく」というと仏教用語らしくなって、ゴータマ・シッダールタ本人が比丘と比丘尼を率いたサンガという団体では、物事への執着を捨てることが苦しみと悲しみのない世界、つまり悟りへの道だと説いていたらしい。生まれと結びついた階級も、財産も、家族への執着も全て捨てて出家しろという教えだったので、残された家族からはずいぶんと恨まれたという話の断片も仏典には残っているらしい。 そういう執着を捨てる仏教はヒンドゥーの階級制度に不満を持っていた人たちには過激で魅力的な思想だったらしく次第に広まったが、釈迦入滅から時代が下って中国へ到達する頃には、親兄弟への執着まで捨てるという思想が、先祖崇拝の伝統があるこの国では布教の妨げになっていたらしく、仏法説話の中からようやくひとつの肉親供養の話を発見してありがたがったという。それが、釈迦の十大弟子のひとり目連(モッガラーナ)が冥土の母親を餓鬼道から救おうとして釈迦に教えを請う場面が現れる「盂蘭盆経」だという。 盂蘭盆経にある、餓鬼道に堕ちた母を救うためには比丘らに施しをしなさいという教えに倣った行事が盂蘭盆会で、これが日本に渡り、先祖崇拝の要素が更に強くなって現在に至るのが、いわゆる「お盆」なのだという。お盆というと、日本では最も仏教的な行事のような気がするが、肉親への執着という意味では、原始仏教の思想とは遠く離れたところへ来ている。 ジェダイ・オーダーは修道騎士団のような禁欲と服従の戒律を持ちながら、フォースの思想には道教や原始仏教との類似が多く見られる。実は無国籍ではなくて多国籍になっているから、この映画は現実の地球人に受けがいいのだろう。 というわけで、普段意識しない仏教の思想と、親類縁者との交流に思い至ったこの夏、相反するものを併せ呑む日本人の鷹揚さを再認識した次第であります。
by antonin
| 2005-08-17 04:39
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