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ドルが急落したのにつられてか一時的に対円で値を下げていたユーロが、160円台を回復した。ドルの対円相場も若干値を上げているが、26週移動平均のグラフを見た感じでは、まだ下げ止まったようには見えない。過去9ヶ月の円相場に見られた傾向が今後も続くのか、気になる。 トヨタ自動車の株価が配当額に対して安すぎるのだという。これは一般的な理論で言えば、トヨタの将来的な成長が期待できず、株価の上昇よりも配当で利率を稼ぐしかない、ということを意味するらしい。世界最大の自動車メーカーであるGMに並び、今後成長するであろう新興国市場にも強い低燃費低価格の小型車を得意とするトヨタに成長余力が無いわけはなく、成熟産業である東京電力より配当利回りが高いというのは説明が付かない現象なのだという。 トヨタが東電を上回る配当利回り、大きな歪みが示す割安感(ロイター) - goo ニュース トヨタ自動車は典型的な輸出産業であり、円高の影響をもろに食らう企業ではあるが、現在は生産拠点を世界各地に分散しており、部品調達も可能な限り工場近隣の地域で行っているという。また、全ての決済を一度円に戻すような古いやり方ではなく、売り上げのかなりの程度を現地通貨で留保し、円を経ないで決済するような方法も比率を増しているのだという。 特に北米市場では、いわゆる「ジャパン・バッシング」以降に失業率の高い地域を選別して工場を設立したりしていて、現地生産・現地販売化が進んでいる。トヨタ車といっても、アメリカを走っている左ハンドル仕様車は一部高級グレードを除けばかなりの割合でMade in USAなのだという。確かにトヨタはヨーロッパ市場やBRICs市場では極端に強いとは言えず、もっぱら北米市場に依存しているのだけれども、それでもドル安を逆手にとって北米産のトヨタ車をヨーロッパ市場に流すということもできなくはない体制になっている。 こういう公開情報があるにもかかわらずトヨタ自動車の株価が安いということは、どこか別の要因が懸念されているのだろう。経済情報には疎いので正確なところはわからないが、素人目にも一番目に付くのは、やはりアメリカ大統領選挙の行く末だろう。日本の自民党政権や、自民党とうまくやってきた日本企業は、アメリカではどちらかというと共和党と仲が良かった。トヨタ自動車の北米工場展開なども、共和党に限りはしないけれども、どちらかというと共和党寄りのロビー活動を通じて実現してきた面が強いようだ。 そして、未来のことは誰にもわからないのだけれども、それにしても日本の報道では「オバマ対ヒラリー・クリントン」の話題しか出てこない。「ジョン・マケイン」などと聞いても、「誰それ?」という人も多いのではないか。日本のマスメディアの予想通りに進めば、初の黒人系大統領にしても初の女性大統領にしても、とにかく民主党から次期合衆国大統領が生まれるということになる。 キリスト教保守系と新自由主義を混ぜ合わせたような「新保守主義」(ネオコン)の印象があまりに悪かったために、民主党が政権を取ればアメリカの正義がよみがえるように思えるかもしれないが、日本の輸出産業とアメリカの民主党の相性は悪い。共和党は他国に自由貿易を強制するかわりに合衆国内にも自由競争を許すようなところがあるけれども、民主党は社会主義的な国民保護政策に比較的抵抗がないから、トヨタ自動車の利益を社会福祉財源として狙ってくる可能性もある。 日本では医療費に関して国民皆保険制度が成熟していて、むしろ手入れを怠ったために機能劣化が進んで衰退期に差し掛かっているが、合衆国では皆保険制度自体が実現しておらず、これから日欧並みの制度を導入しようと民主党が主張している段階にある。しかし赤字財政でそれを実現する痛みはすでに何度も経験しているので、ある程度の財源は確保してから政策を実施に移すだろう。 民主党の方針として庶民からの増税でそれを賄うわけにはいかないので、取りやすいところから取るとなると大きな利益を上げている大企業が標的になりやすい。Microsoftなどはその筆頭になるのだろうが、自国産業を圧迫してしまっては評判が下がるので、代わりに標的としやすいのがトヨタ自動車やヒュンダイ自動車、あるいはソニーやサムスン電子あたりということになる。だとすれば、このあたりの企業の株価が下がるのもある程度は仕方がないのかもしれない。 合衆国政府の立場で言えば、今まで米国の活況で稼いできたのだから、不況下では草刈場にされても文句は言わせない、というところだろう。あまりに露骨な保護主義的課税は憲法などの基本法に抵触してしまうだろうが、「結果的に」そうなってしまうような法律なら作れる。日本も平成不況で外国人や外国資本をかなり締め出しながら日本企業を保護してきたのだから、そういう意味でも文句を言える筋合はない。トヨタを保護して欲しかったら、ブルドッグくらい売れと言われるだろう。 トヨタの米国本社が現地採用した上級役員のうち、少なくないメンバーがビッグスリーなどに引き抜かれてしまったらしい。それでも痛みはあるのだろうが、あちらの経営層というのは転職によるキャリアアップがほぼ常識だから、この程度なら折り込み済みだろう。しかし、日本の技術を満載した製造装置を組み込み、日本のものづくりを全ての工員に教え育てるシステムが作られ、そして世界的にベンチマークされるトヨタ生産方式を体現したトヨタ自動車の北米工場が、何らかの圧力によりビッグスリーや親米的なインド企業などに売却されるような動きになると、日本の自動車産業全体にとって大きなダメージとなる。 こんな素人推論がどこまで当たるのかは知らないが、そういう要因が全くないということもないだろう。もしそういったリスクがないのであれば、「あらトヨタがお安いのね、今のうちに買っておかなくっちゃ」ということになるのであるが、果たしてどうか。
by antonin
| 2008-04-04 00:30
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